「象徴天皇制を担うのは、あくまで天皇」
これからの彼は、5歳違いの兄である天皇を支えるという大きな役割を担うことになる。兄弟が力を合わせて令和皇室を牽引(けんいん)することも想定される。
一体、彼はどう考えているのだろうか。そのことを強調して、再び尋ねた。
慎重に言葉を選びながら、彼はこのように語った。
「象徴天皇制を担うのは、あくまで天皇であり、私は兄を支える、助けることに徹するのではないでしょうか」
確かにその通りだが、いま一つ物足りない。なかなか彼の本音に迫れない。
少し聞き方を変えてみた。
20年以上前のことになるが、私が「将来、どういう皇族を目指しますか」と質問した際に、彼は「皇族には天皇をサポートするという役目が不可欠です。加えて様々な依頼事があり、それらの仕事をやります」と答えたことがある。続けて彼は、「例えばこれから10年ぐらい経ってくると新たな視野が広がってくると思います。自分のやりたいテーマみたいなものが出てくるかもしれません」と語っていた。
このやりとりを引きつつ、「最近、新たな視野が広がっていますか?」と聞いてみた。
「公的な活動は受動的でありますのでね」と、従来の考えを繰り返し、彼は明言を避けた。
一方で私的な活動については、このような考えを示した。
「『生物多様性』などは、20年前と今とでは取り上げられ方が異なってきていると思います。私は、日本動物園水族館協会や日本植物園協会に関わっていることから、生物の多様性にも関心を持っています。しかし、基本的には個人の関心事として、関係している人を私的に応援するくらいかと思います」
彼は日本動物園水族館協会と日本植物園協会のいずれでも総裁を務めている。だから多様性には関心を持つが、それはあくまで個人的なことに過ぎないというわけだ。
公的な立場の場合、自分が率先して仕事を選ぶのではなく、あくまでも依頼された仕事に一つずつ丁寧に対応する。それが大切なのだと彼は強調した。
(#4に続く)
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