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 Twitterの分析画面は2017年から一般ユーザー(無印アカウント)でも使うことができたもので、当時は過去に遡ってデータを参照することもできた。それが無課金では使用不可、月額980円を払っても1年分しか見られなくなっている。

過去のツイートのデータが見られなくなってしまったアナリティクス画面

 過去のデータが無くなっては、広告や情報発信の知見も溜まらないので、企業などは当然困る。さらに、問い合わせようにも現在は窓口が閉鎖されているので頭を抱えるしかない。

 イーロン・マスクは故人など非アクティブなアカウントの削除を宣言しており、過去データが見られなくなっていることも含めて、Twitterという場所に愛着を持っていた人の感情を逆撫でしつづけている。

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 青バッジを剥奪され、課金を決断させられるまでの一連の顛末で、やはり現在のTwitterが悪い意味で「ヤバい」状況にあることを再認識させられた。

©️iStock.com

「ゆるやかな死」はもう始まっている

 多くのユーザーにとってTwitterは「見る」ものであり、ビジネスとして情報発信をするユーザーに課金すること自体はモデルとして理解できるが、インフルエンサーなど一部の人気アカウントには無償でバッジが配られ、そのツイートばかりがタイムラインに表示されるのはいち泡沫課金ユーザーとしては納得感が低い。

 何より、自分をフォローしている人にさえツイートが表示されなかったり、以前よりガクッと反応が減ればツイートする気もなくなるというものだ。多くの人が自分ごととして入り浸ったからこそTwitterは日本で流行ったのであり、インフルエンサーを優遇しすぎれば長期的にはユーザー自体が離れる可能性が高い。

 筆者のタイムラインでも、いわゆる「通常の日常ツイート」を見る機会はずいぶんと減った。Facebookが「よそ行き風味のキラキラした投稿」「ビジネス投稿」だらけになって特に若い人が離れたのと同じ道をTwitterはすでに歩みだしている可能性もある。

「○○なう」と他愛のないこと、でもつながっている人同士では大切なことを共有するのがTwitterの魅力であり、その原点がイーロン・マスクには理解できないのかもしれない。

 すでに若年層の多くはInstagramやTikTokに移住しており、Twitterの共同創業者ジャック・ドーシーが立ち上げたSNS「BlueSky」の登録者数も10万を超えた。Twitterの力は依然として巨大だが、メディアとしてはゆるやかに死に向かうフェーズに入っていると言えるだろう。