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東急“ナゾのタワーマンションの駅”「武蔵小杉」には何がある?

「武蔵小杉」から見えるもの#1

2023/06/26

genre : ニュース, , 社会

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4か所ある「武蔵小杉」の正面

 “武蔵小杉駅前”ということでいえば、出入り口から見て4か所がそれにあたる。ひとつは、JR南武線の北側だ。こちらにはバスが発着するロータリーがあって、すぐ近くには武蔵小杉タワープレイスやパークシティ武蔵小杉タワーズイーストといった高層ビルが建つ。

 

 その奥でもまだ建設中の区画があって、ここにもタワマンか何かが建つのだろう。それよりさらに奥に進むと、日本医科大学の病院があり、あとはどちらかというと背の低い家々が集まる住宅地になっている。

 

 次に、南武線の南側。こちらには東急の武蔵小杉駅もあって、駅の中から東急スクエアに直結。JR側はともかく、東急側は駅前にちょっとした広場も設けられている。

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 南武線の線路沿いにいくつか大きなビルもあるが、全体的には昔ながらの商業エリアといった趣が強い。「センターロード小杉」と名付けられた、路地の中の飲み屋街のようなゾーンもある。どちらかというと、“古くからの駅前”にあるような雰囲気といっていい。

 

 そして、東急線の東側。武蔵小杉をタワマンの町と単純に定義づけるならば、それに最もふさわしい駅前はここだ。駅前のロータリーの向こうには、もう背の高いタワマンがいくつも見える。駅の脇にはららテラス。タワマンの間を抜けるとグランツリー武蔵小杉という商業モールがあり、それより南にもタワマンの森。武蔵小杉でいちばんのタワマンエリアだ。

 
 

 さらにその森の中を東急の駅前から南東に歩いて行くと、「武蔵小杉駅新南口」という出入り口が見えてくる。こちらにもちょっとした駅前広場がある、JR横須賀線のホームに通じている出入り口だ。

 

 横須賀線のホームは、同じJRなのに南武線のホームとはかなり離れている。同じ駅だから、と乗り換え時間を5分程度と見積もってしまうと、どうあがいても間に合わない。南武線ホームの端っこから連絡通路が設けられているのでそれを辿っていくことになるが、登ったり下ったりを繰り返して、最低でも10分、余裕を持って15~20分は乗り換え時間を確保しておかねばならない。

 

 つまり、武蔵小杉の駅は、南武線と東急線こそ東西南北に交わって隣接しているものの、そこから離れた場所に横須賀線のホームがあるおかげで、ますます中心が見えにくくなっている。