スクウェア・エニックスの看板タイトル「ファイナルファンタジー(FF)」シリーズの最新作「FF16」(PS5)が、6月22日に世界同時発売され、早速1週間で世界出荷本数300万(ダウンロード込)を記録しています。

 本編シリーズとしては約7年ぶりとなる同作。この作品がヒットするかどうかは、単なる1本のソフト以上の重要な意味合いをもっています。

「挑戦」を続けたFFの歴史

 FFシリーズは、魔法のあるファンタジー世界を舞台に、仲間たちと力を合わせて冒険をするRPG(ロール・プレーイング・ゲーム)として長年にわたって人気を博してきました。

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 最新作「16」の舞台は、資源を巡って国同士が戦いを繰り広げている仮想の世界「ヴァリスゼア」。2体の召喚獣が激突する戦争のシーンから始まるとおり、軍隊すら凌駕する強大な力「召喚獣」、そして召喚獣の使い手「ドミナント」の存在が物語のキーになっています。

 

 体験版の時点でも、ジェットコースターのような緩急のついたストーリー展開、巨大な召喚獣同士のスピードあふれる空中戦の迫力が好評で、高性能のPS5を存分に生かした派手な演出は、「FFらしさ」を感じさせました。

 ゲームファンを魅了し続けているFFシリーズの第1弾発売は1987年。人気RPG「ドラゴンクエスト」を意識して誕生したことが知られています。愛憎などのドロドロとした感情やクールさを前面に押し出した大人向けのストーリー、ハイレベルな表現(映像技術)を武器に売り上げを伸ばし、日本を代表するゲームへと成長。世界累計出荷数は1億7300万本以上を誇るなど、欧米でも大人気作品です。

 どの作品もそれぞれの特徴があり、シリーズを通しての「FFらしさ」は一見すると難しいものですが、歴代のFFシリーズのプロデューサーの答えは概ねひとつのものに収斂していきます。すなわち、「クリスタル」や「チョコボ」などのシリーズでおなじみのワードを盛り込みながら「果敢にさまざまなことに挑戦すること」なのだそうです。

 ふりかえるとたしかに、FFシリーズほどこの言葉が合うタイトルはなかなかありません。

 

 初代FFの発売時は、会社(旧スクウェア)が存続の危機にありましたし、FF7もプラットフォームを任天堂からソニー陣営に移して業界を驚かせました。FF11も、「オンラインゲームは成功しない」と言われる中でサービスを20年以上続けています。

 また、FF11の後継オンラインゲームとして誕生したFF14はサービス開始直後から大不評で、当時の経営者が陳謝して責任者が交代。一度は「失敗」の烙印を押されましたが、ゲームを丸ごと作り直すという“離れ業”で巻き返しました(ちなみにFF16の吉田直樹プロデューサーは、FF14を立て直した責任者です)。