FF16ではプレーしても、「ガイド」が表示され、次にやることがすぐわかるゲーム設計になっています。初心者と上級者は、視点や求めるモノが全く異なるため、両者の要求を満たすことは並大抵でないはずですが、その両立を図りながら作品を深めているのです。
「最新作のFFからナンバーリングがなくなる」説をプロデューサーに聞いてみた
もちろん、これらの期待はそれぞれにいわば中長期的視点の重たいものであり、達成できたのかが分かるのは数年後になりますが、PS5用ソフトという限定されたプラットフォームながら現時点ですでに300万本の出荷。PS5本体の世界出荷数が現時点で約4000万台ですから、PS5所有者の7~8%がFF16を購入した計算になります。まずは順調に船をこぎ出した……というところでしょう。
この順調なスタートを切ることができたのには、様々な理由があるでしょう。リッチな表現のできるゲーム機をフルに活用し、映像美を求めるユーザー層の期待に応えたこと。クリエーター自ら発売前に情報発信に力を入れたこと。体験版や強化されたアクション要素への評判が良く、「ゲーマー」が主力のPS5の所有者を中心にSNSの口コミで広まったこと……。
しかし、おそらく最も重要な理由は、作り手側が「FF」というブランドを大事にし続け、最新作をめぐっても最適なあり方を模索してきたことにあるのでしょう。
その好例がタイトルです。実はFF16の発売前、海外メディアのある記事が世界のゲームファンで話題になりました。「FF」の最新作ではゲームタイトルにつける数字、すなわち「ナンバーリング」を取ることを検討したというものです。
最終的に発売されたものはこれまで同様「FF16」と数字がついていたのですが、この記事は日本でもファンの間で話題になりました。「ナンバーリングの撤廃」についてどう考えているのか。取締役でもある吉田直樹プロデューサーに尋ねると、次のような回答がありました。
海外のインタビューを受けた際に、プロデューサーである私の発言が、一部切り取られる形になっているため、あらためて事実ベースのお話をお伝えさせてください。
FFフランチャイズの今後を考える上で、ナンバーリングの表記をどうしていくべきか、という議論が行われたことは事実です。その理由は、やはり伝統あるシリーズとは言え、シリーズに触れたことのない若い世代のゲーマーや、シリーズを知らない人にとっては、ナンバーは「続きものである」という印象を与え、「古いものから順に遊ばないといけない」という先入観となってしまいます。フランチャイズを更に成長させていくためには、新規層の獲得が非常に重要であるため、これは参入の障壁になりやすい、と考えています。
しかし一方で、歴史の長いフランチャイズでもあることから、ナンバー外のいわゆる「派生タイトル」も多数存在しており、ナンバーリングを外し、サブタイトル化したとしても、それはそれで混乱が生じてしまうだろう、というのが実情です。また、派生タイトルが多数存在するからこそ、熱心なシリーズファンの皆さんは、ナンバーに強い想い入れを持ってくださっており、「ナンバーであることこそ、正統本編の証である」といったように捉えていらっしゃいます。
このような協議をした上で、今すぐに撤廃という流れではなく、今回は「16」というナンバーリングを、明確な意思をもって行いました。今後のフランチャイズを発展させていくためにも、あらためて、近々しっかり向き合わなければいけない課題であると同時に、このようなオープンな議論ができるほど、自由で柔軟なフランチャイズである、というのがFFシリーズの強みでもあると思っています。