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夏帆は同作の話があったとき、自分にはまだ早いんじゃないかと悩んだが、監督の三島有紀子とはそれ以前に映画『ビブリア古書堂の事件手帖』(2018年)で一緒に仕事をしており、彼女となら次のステップに行けるんじゃないかと思い、引き受けた(『SPA!』2020年2月11・18日号)。
三島としても、夏帆の演技力は知っていたし、もっといろんな彼女を見せたかったという(『anan』2020年1月15日号)。それだけに撮影中にはずっと「違う夏帆を」と要求され、《「今のでオッケーだけど、もうちょっとできるよね」とか、「もうちょっと違うところに行けるよね」って、常に現場で言われて》いたとか(『週刊朝日』2020年2月28日号)。
俳優デビューから20年
三島のほかにも映画監督からラブコールを送られるたび応じてきた。箱田優子監督からは長編デビュー作となる『ブルーアワーにぶっ飛ばす』(2019年)の制作にあたり、直々に手紙で出演をオファーされた。
夏帆によれば《そこには10代から20代にかけての私の変化を箱田さんが見てくださっていたこと、その上でこの役を演じてほしいと書かれて》おり、《私がやってきたことは間違いじゃなかったんだと認めてもらえたような気持ち》を抱いたという(『Hanako』2022年5月号)。
経験を積み重ねた俳優の演技を見ていると、思わず自分の人生を重ね合わせてしまう瞬間がある。夏帆も俳優デビューから20年にして、その域に達しつつあるようだ。