果たして何が釣れるのか?
多田屋ではお食事付きプランの宿泊者を対象とした調理サービスを行っており、釣った魚を持ち込むと、その日の夕食や翌日の朝食の一品にしてもらえる(魚のサイズによって1匹/220~1600円の調理代金が必要)。調理サービスは本館の醍醐味の1つでもあるので、何としても魚を釣りたくて道具をたくさん持ってきたわけだ。
ただし、夕食に間に合わせるためには、当日の18時までに魚を引き取ってもらう必要がある。現在時刻は16時半。館内の撮影に夢中になり15時のチェックインからだいぶ時間が過ぎてしまった……。
ちなみに釣りの禁止事項は「建物を破損させる行為」のみで恐ろしく寛大な設定ではあるが、コマセなどの撒き餌を使った釣りは庭を汚してしまう恐れがあるため自主規制した。
早速、堤防からキスを狙うちょい投げ仕掛けに虫エサを付けて投入。完全にプライベート空間での釣りなので期待値は大きい。
30mほど投げても水深は2~3mほどで、射程圏内は遠浅みたいだ。ならばと広範囲を探っていると、足元付近に投げた仕掛けにアタリが出た。
小気味いい引きで上がって来た魚はシロギス!
小型ではあるが嬉しい1匹。キスは群れで行動するため同じポイントに仕掛けを投入すると、今度は可愛らしいサイズのヒイラギが釣れた。
ヒイラギは体表のヌメリとヒレの棘(毒はない)の処理が面倒なため、リリースされがちな魚だが、実は脂の乗りが良くしっかりした味わいのある魚だ。煮つけ、フライ、塩焼きなどの基本的な調理法でも美味しくいただけるのでキープした。
結果、18時まで釣りをしたところ、キス1匹、ヒイラギ2匹の釣果であった。バケツに入れたまま仲居さんに渡し夕食を待った(小さくてすみません……)。
たった数百円で釣りたての魚がから揚げに!
魚のサイズや調理方法によって値段が変動するが、キスやヒイラギのような小型の魚は1匹220円で調理してもらえる。今回はから揚げにしてもらった。
ではキスからいただきます。
サクサクで香ばしい! このサイズでも身に厚みがあるのでふわっとした食感も健在。ヒイラギも同じくサクサクで香りが良い。キスよりも骨煎餅に近い食感だが、噛むほどに旨味が広がり、小魚とはいえ侮れない味わいがある。一瞬で食べてしまう釣果だったが、釣りを含めた満足度は高い。
またコース料理も能登の幸がふんだんに使われた贅沢なお料理がでてきた。
その日に獲れた新鮮な甘エビは、身がぷりぷりでとにかく甘い。冷凍されたものに比べて肉厚で旨味がしっかりと残り、風味も豊か。
またお刺身を食べていて気になったのが、刺身醤油。仲居さんに聞くと七尾市に蔵を構える「小山屋醤油」の刺身醤油を使用しているとのこと。これがほんのり甘く、魚の旨味を醤油のコクで上塗りしない程度に引き立てている。白身魚やイナダやカンパチといった青物に合う印象だった。多田屋のお土産屋でも売っていたので、愛用している九州の甘口醤油と使い分けたいところ。
そしてメインのお肉料理は能登牛を使ったすき焼き。
咬合力をいっさい必要としない柔らかな肉質に、脂はさらっとしていて上品な甘さがある。
赤身肉を食べがちな30代の私ですが、改めて良質なお肉の脂の美味しさを味わうことができた。野菜のゴボウも香りよくご飯がすすむ!
お料理を堪能したら露天風呂に入って寝るだけ……。いや釣り欲がまだ満たされてないではないか。釣りの後半戦を始めよう。