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 日本のプロ野球界では、ドラフト第1巡目では全球団が新人選手を指名することができ、重複していた場合は抽選が行われる。

 8球団から指名されるためには、同じ花巻東高校からプロ入りした左投げ左打ちの菊池雄星をしのぐ選手になる必要がある。

 これを達成するためには、目標設定シートの残り80マスを埋めた課題を一つ一つこなしていかなければならない。その中で大谷が特に重点を置いたのは、メンタルの強さと体作り、そして160kmを超えるピッチングを可能とする右腕の強さとコントロール力を身につけることだった。

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 大谷が才能と目標意識の高さをあわせ持つ、夢のような逸材であることは間違いなかった。野球界の階段を登っていく大谷に、不可能なことはほとんどないように思われた。

高3にして球速160kmを記録

 2年生のとき、大谷はニューヨーク・ヤンキースでも活躍した田中将大がやはり高校2年のときに出した150kmを叩き出し、3年生のときにはアマチュア選手として前例のない記録を出した。スピードガンが示した数字は、160kmにも及んだのだ。

 課題を着実にこなしていく大谷だったが、一番の目標である8球団からの指名が実現する見込みは薄くなった。

 その理由は、投打双方に高い能力を持つ大谷が、日本野球機構NPBに向かって変化球を投げたからだ。

 各球団が指名選手を発表するわずか数日前、大谷は日本でプロ入りはせず、直接メジャーリーグを目指す意思を表明したのだった。