乗船していたヘイミッシュ・ハーディング氏(58)は英国の資産家。昨年、有人宇宙飛行(約40億円)にも参加している。
「銀行で使うソフトウェアを作る会社で財を築いたのち、プライベートジェットの販売会社を創業しました。深海探査に関しては、趣味のレベルではなくマリアナ海溝最深部(水深約1万1000メートル)の潜水時間の最長記録など3つのギネス記録を持っている」(同前)
SF好きの若者はギネス記録に挑戦予定だった
高額ツアーに片っ端から参加するものがいる一方で、タイタニック一途の資産家もいた。
「英国籍のシャザダ・ダウッド氏(48)は、パキスタンで、石油や肥料などを扱うエングロ・コーポレーションの副会長。純資産は500億円とされます。幼い頃からタイタニックの魅力に取りつかれ、姉によれば、事故を描いたドラマ『A NIGHT TO REMEMBER』をいつも見ていたそうです。また、妻は『潜水前の彼は興奮して子供のようだった』と証言しています」(岐阜女子大学特別客員准教授・笠井亮平氏)
シャザダ氏の息子で大学1年生のスレマン氏(19)も同乗。当初は、怖がっていたが父を喜ばせるために参加した。SF好きの若者は、タイタニックの近くで趣味のルービックキューブをして、ギネス記録に挑戦予定だった。
乗客を乗せた潜水艇は完全に破壊される
そして、潜水艇にはある伝説の冒険家も乗船していた。ジャーナリストの広岡裕児氏が語る。
「フランス出身のポール=アンリ・ナジョレ氏(77)は、元仏海軍の将校。現役のころから沈没船の探索に興味を持ち、除隊後はその専門家となりました。旧日本海軍の戦艦大和の残骸調査にも参加するなど、世界的にも知られています。中でもタイタニックの残骸回収には、心血を注いできました。35回以上も潜水し、“ミスタータイタニック”と称されたほどです」
5人を乗せた潜水艇は完全に破壊され、遺体回収の目途は立っていない。