強いストレスにさらされたとき、どうすればいいか。順天堂大学医学部の小林弘幸教授は「ストレス要因と出合うと自律神経のバランスが乱れる。そういう場面で何をするか、ルーティーンを決めておくと冷静さを取り戻しやすい」という――。
※本稿は小林弘幸『自律神経が整えば、仕事も人間関係もうまくいく』(KADOKAWA)を再編集したものです。
ストレスの正体を見極めて対処する
社会生活の中では、さまざまなストレス要因に出合います。しかしストレスから逃げてばかりいては、仕事や人間関係などは成り立たないでしょう。
「ストレスがなければいい」と単純に考えるのではなく、自分にダメージを与えているストレスの正体を「見える化」し、メンタルではなく、体の反応を注意深く観察することが大切。このとき、自律神経を整える意識を持ち、対処法を知っていると、ストレスとの向き合い方が変わります。
ストレスによって、過剰なダメージを受けないようになってくるのです。
ストレスと自律神経は密接に関係しています。
自律神経は交感神経と副交感神経に分かれ、交感神経は「活動するための神経」、副交感神経は「休むための神経」です。人間の体は何かしらのストレスを受けると、交感神経が高まります。この交感神経が上がっている状態でも、副交感神経が下がらず、自律神経のバランスが著しく悪くなければ、問題視する必要はありません。
自律神経のバランスが崩れると血流が悪くなる
問題なのは、交感神経が上がると同時に、副交感神経が極端に下がってしまう状態。副交感神経が低下すると血管が十分に拡張しないので、まず血流が悪くなり、同時に内臓機能も低下するため、血液の質そのものも悪くなります。
自律神経のバランスが崩れると、赤血球が変形したり、くっついたり、完全に壊れてしまうケースも。すると、酸素を体中に十分に運ぶことができなくなり、脳の働きが悪くなるなど、体にはさまざまなマイナス反応が出てきます。