2022年3月、50歳を機に27年間勤めたTBSを退職しフリーアナウンサーになった堀井美香さん(51)。23年2月には、独立後の日々を綴ったエッセイ『一旦、退社。』(大和書房)を刊行した堀井さんに、“女子アナ”時代の話から入社2年目での子育て話、夫との新しい距離感の話など、さまざまな角度から話を聞いた。(全2回の2回目/1回目から続く)

堀井美香さん ©佐藤亘/文藝春秋

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入社2年目で産休・育休を取得して感じた“負い目”

――堀井さんは1995年にTBSに入社し、24歳で社内結婚。翌年に長女を、00年に長男を出産されました。早く家庭を持とうと考えていたのでしょうか。

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堀井美香さん(以降、堀井) 私は秋田の田舎の生まれで、地元のお友だちはすでに結婚・出産していたこともあり、自分にとっては「交際=結婚」が普通のことだったんです。実際、付き合ってすぐ私からプロポーズして押し切りました(笑)。でも、東京は全然違うんだな、というのは後から知りました。

――入社2年目に産休・育休に入ることに対して風当たりを感じた?

堀井 直接言われるようなことはなかったですけど、妊娠中に「入社2年目で子どもを作るなんて」と間接的に耳にしたことはあります。申し訳ないというか、会社に負い目を感じた時期はすごくありました。

 

――妊娠中に聞く言葉としては相当キツいものがあります。

堀井 落ち込みましたね。東京では、30歳ぐらいまで働いてある程度キャリアを確立してから結婚を考えるライフプランが主流だったんですよね。自分はそのお手本から真っ先に外れてしまった社員。会社のためになるようなキャリアをいつ挽回できるんだろう、というのは感じていました。

 あと、子育てと仕事の両立についても過渡期にあった時代だったので、女性たちの間でもまだ揺れているところがあったというか。

――具体的にはどういったことでしょう。