「今からこぶしでも使うんか」と思うくらい威嚇された
——#KTちゃんは見事予選大会を勝ち抜いて本戦に出場しました。女性ラッパーの長瀬さんとの1回戦での試合はどうでしたか。
KT すごかったです、あれは(笑)。本番迎えるぞっていう時に、袖の反対側に長瀬ちゃんがいたんですけど、長瀬ちゃんがギラギラした目で私を見てきて、「今からこぶしでも使うんか」みたいな。
——喧嘩でも始まっちゃうぞ、みたいな。
KT 手首をポキポキ鳴らしていて、「今から何するんだっけ。ラップバトルですよね」みたいな感じで(笑)。すっごい威嚇されてて、それで「ヒエ~!」と思ったけど、ステージに上がったらそんなの関係ないとバイブスを全力でぶつけに行きました。
会場は渋谷のO-EASTで1000人キャパだったんですけど、お客さんもギュウギュウに入っていて、ステージに出た時にみんなで声を出して、「ウェーイ」って言うんですよ。そんな歓声を今まで浴びたことがなくて。
——その歓声の大きさで気持ちも高まって、やってやるぞと。
KT そうですね。すべてが初めてで新鮮な世界だったから、夢の中なんじゃないかなって思って。「夢なら何でもできるだろう」ってやる気が漲ってきました。用意していたワードはあったけど、即興なのでとにかく音楽に乗ってお客さんを楽しませようって考えていて。
結果は負けてはしまったんですが、お客さんからも大きな声援をもらえたし、何よりあんなに大きなステージでラップバトルできたのは本当にいい経験でしたね。
「#KTちゃんがラッパー?」周りからは戸惑いの声も…
——バトルの後、裏で長瀬さんと話したりしたんですか。
KT 終わった後に、先輩みたいな優しい目で「#KTちゃん、ラップやめないでね」って(笑)。優しかったですね。
——高校生RAP選手権に出場した後、クラスメイトやご両親の反応はいかがでしたか?
KT 学校では他のクラスの子が教室に覗きに来たりとかしましたね。「高ラ(高校生RAP選手権)に出てた子だ」とか、「写真撮ってください」とか。
それで「あ、ラップバトル見てる人ってこんなにいるんだ」ってビックリしました。
でも、私、休み時間に本ばかり読んでいたし、そんなに騒ぐタイプとかでもなかったから、みんな「#KTちゃんがラッパー? どういうこと?」って戸惑っていましたね。私にラッパーのイメージが全くなかったようで。
両親は、最初に大会に出るって決めた時は「その大会は大丈夫なの?」って心配もしていたんですけど、私が「高校生の思い出としてやりたいんだ」っていうことを言ったら素直に応援してくれました。大会後の反響にはすごく喜んでくれてましたね。
写真=三宅史郎/文藝春秋
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