マサイ族に惹かれて再びケニアへ
とにかく嫌な思いをたくさんしたし、ケニアなんてもううんざりと思って日本に戻りましたが、マサイを知ったことで、「マサイに会ってみたい」と思ったんです。
――それでまたケニアに戻られた?
永松 マサイ族の前にもうひとつ大事な出会いがあって。あの『沈まぬ太陽』の主人公、恩地元のモデルになった日本航空の元労働組合委員長・小倉寛太郎さんなんですけど、その彼とめぐるケニアの旅、みたいなツアー企画の添乗員に指名されたんですね。その仕事は私にとってものすごくためになって。
――いつものケニアツアーとは違う旅だった?
永松 ケニア観光といえば野生動物を見るサファリツアーが中心です。でも、長年アフリカで活動をしてきた小倉さんのツアーは、ケニアが抱えるさまざまな社会問題にメスを入れながらお客さんを案内していて。
それを聞いて、これまで“キラキラした目をしたアフリカの人”“雄大な自然”みたいな、いかに上辺だけのケニア案内をしてきたんだろうと思ってハッとしました。
――永松さん自身、移住者としていろんなケニアの側面を体感されていました。
永松 小倉さんの案内を見たことで、今までケニアでやってなかったスタイルの観光案内とか、私にできることがあるんじゃないかと思いました。
ケニアが嫌になって帰ってきたけど、嫌になった理由は、もしかしたら結婚したあの男だけの問題だったかもしれない。あの男なしのケニアだったらやることはあるかもしれないと思って、また往来を重ねるようになったときに出会ったのがマサイ族だったんです。