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控訴審の判決が出る日、大阪高等裁判所の201号法廷に宮本被告の姿はなかった。控訴審から弁護を担当する向井啓介弁護士は出廷を促したが、本人が頑なに拒絶したという。向井弁護士が困惑気味に話す。
「説得は試みましたが、ご本人に出廷するお気持ちがなかった。(再び懲役20年の実刑判決を受けて)上告するかどうかに関しては、裁判結果の報告と共に手続きに関して宮本さんに伝えました。仮に上告したとしても、数カ月後に『上告を棄却する』というような文書が送られてくるだけやと思います。控訴が棄却された裁判で上告したとしても、差し戻されるケースはあまりありませんから」
「取り返しのつかないことをした。申し訳ない」とはじめて謝罪?
そもそも被告はなぜ控訴したのか――。いったい被告は、一審判決の何に不満だったのか。死刑を求めながらそれが認められなかったことか、それとも懲役20年という刑期が不満だったのか。はたまた無罪を主張したかったのだろうか。
「それは私にもわかりません。原審の先生(弁護士)と宮本さんの間でどのようなやりとりをしたのかは私も知りません。被告と意思疎通はできていたと思いますが、結局、事件の中身についての話はできなかった」
しかし判決を前にした7月6日に、被害者である真優子さんの兄・雄介さんは大阪拘置所で宮本被告と面会し、その際に「取り返しのつかないことをした。申し訳ない」と言われたと報道陣に明かした。あれほど沈黙を貫いていた宮本被告が、遺族に対して初めて罪を認め、謝罪したというのだ。