不動産大手「オープンハウスグループ」の施工・建築を手がける主要子会社「オープンハウス・アーキテクト(以下、アーキテクト社)」が行った工事の影響で、隣家の「擁壁(ようへき)」に亀裂が入り、住民らと裁判所を巻き込むトラブルになっていることが「週刊文春」の取材でわかった。

「擁壁」とは、高台にある土地の斜面が崩壊するのを防ぐための壁状の構造物で、一般的にコンクリートで作られる。土地や建物を支える役割を果たしているため、亀裂が入ると住民の生活に危険が生じる可能性がある。

亀裂が入ったAさん宅の擁壁。ビニールシートで覆われている(Bさん提供、2018年12月13日撮影)

 

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 格安ハウスメーカーとして知られるオープンハウス。2013年に持株会社のオープンハウスグループが東証一部(現・東証プライム)に上場以降、順調に成長を遂げてきた。「行こうぜ1兆!2023」のスローガンの下、今年度中にはグループ連結売上高1兆円達成が確実視されている。

擁壁に大きな亀裂が入り、地盤が沈下

 しかし、その裏では、多くの問題が浮上している。

「週刊文春 電子版」はこれまで3度にわたって住民からの告発が相次ぐ新築物件の“欠陥”や、顧客に「住宅ローン不正利用」を指示する“不適切営業”などオープンハウスを巡るトラブルを報じてきた。

 そんなオープンハウスについて、新たな告発が寄せられた。

「オープンハウスが行った工事の影響で、ウチの擁壁に大きな亀裂が入り、地盤が沈下してしまいました。工事が始まって4年半。調停や裁判に発展しましたが、話し合いは一向に進んでいません。オープンハウス側の不誠実な対応にもう我慢の限界です」

2019年1月5日撮影。大きく亀裂が入った擁壁(Bさん提供)

 こう語るのは、神奈川県横浜市在住のAさんだ。

 Aさんの隣の土地で工事が始まったのは、2018年12月初旬のこと。3階建ての住宅2棟の工事を請け負っていたのが、アーキテクト社だった。

 Aさんが“異変”に気づいたのは、工事がスタートしてすぐだった。

「かなりの揺れを感じたんです。私の自宅は隣の土地より高台にあり、高さ約2メートルの擁壁で土地を支えています。『なぜ揺れるんだろう?』と思って見に行くと、あろうことか、工事の人が擁壁の真下の土地を掘削していたのです」(同前)

2018年12月6日、擁壁の下の土を掘削している様子(Bさん提供)

 これによってAさん宅の擁壁は宙に浮いたような形になってしまう。そして工事開始から10日後、擁壁には大きな亀裂が何箇所も入ってしまった。

「不適切な工事が影響しているのは明らかです。ところが、報告と謝罪にやってきたのは、アーキテクト社の担当者ではなく、同社に建設を発注した不動産会社のBさんだったのです」(同前)

 どういうことなのか。