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「費用は払わないスタンスで行ってこい」

 実は、アーキテクト社は施主であるBさんともトラブルを起こしていた。Bさんは、工事開始直後に現場を訪れた時、擁壁の真下を掘削している場面を目撃し、「これは危ない。このままだと崩壊する」と思ったという。すぐ対処するよう求めたが、対応されることはなく、結局、擁壁に亀裂が入ってしまった。

2023年現在のAさん宅。手前がオープンハウスの建設予定地だが、空き地のまま(記者撮影)

 当のBさんが語る。

「『Aさんのところに一緒に謝罪に行きましょう』と促したのですが、アーキテクト社の社員は『責任を認めたことになるので一緒には行きません』と頑なに拒否。なので、仕方なく私1人でAさんに謝罪に行きました。その後の対応も信じられないくらい酷かった。ある社員は、『このトラブルは代表も理解している。本当にこちらが掘ったことが原因か分かっていない以上、費用は払わないスタンスで行って来いと言われている』と漏らしていました。責任は認めない。金は払わない。そういう“社風”なのかと呆れました」

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 2019年11月、Aさんとアーキテクト社の間で擁壁の補修を巡る民事調停が始まった。2020年8月にはBさんが〈(建物の)工事の完成及び引渡しが遅延している〉として違約金442万7400円の支払いを求めて同社を提訴。だが、Aさんとの調停も、Bさんの訴訟も、同社側の対応に2人が納得していないため、2023年7月現在も続いている。

施主のBさんはアーキテクト社を提訴した

 Aさんが語る。

「日々の暮らしに関わる大きな問題なので、オープンハウスには一刻も早く誠実に対応してもらいたいと願っています」

 オープンハウスグループに、“擁壁破壊”をめぐるAさんとの調停やBさんとの裁判について今後どう対応する予定なのかなどを聞くべく質問状を送ったが、こう回答するのみだった。

「ご照会頂いている事案は係争中である為、個別の回答は差し控えさせて頂きます」

 現在配信中の「週刊文春 電子版」では、Aさん宅の擁壁に亀裂が入る原因となったアーキテクト社の“不適切工事”の詳しい内容、AさんとBさんを苦しませている同社の不誠実な対応の詳細、Bさんが同社を提訴するに至った理由、2022年末に発覚した擁壁の亀裂によって引き起こされた深刻な地盤沈下など、泥沼調停&訴訟トラブルについて詳しく報じている。

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