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NARUMI 留学前に、「留学費用を貯めたいからアルバイトがしたい」と父に相談したら、「人に雇われるだけがお金の稼ぎ方じゃない」と許可してくれなくて。仕方なく、オンラインでケーキを売るビジネスを始めたんです。

――お父さんの言葉もすごいですが、その言葉にめげずに行動したNARUMIさんもすごい!

NARUMI 売上は微々たるものでしたけどね。留学費用は奨学金と稼いだお金で賄って、留学先のデトロイトに向かいました。

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「女の子1人で出歩いちゃいけない」壮絶な留学生活の始まり

――留学中に滞在するホストファミリーが、かなり問題を抱えた家族だったそうですね。

NARUMI 私が最初の留学で出会ったホストファミリーは、いろいろな問題を抱えていましたね。

――最初に会ったときの印象はどうでしたか。

NARUMI 「良い家族にあたったな」と思いました。私の名前を書いたプラカードを持って空港の到着ロビーで待機してくれていたんですよ。

 お父さんは高級車の内装デザインを手掛けるデザイナーで、お母さんは不動産会社勤務。社会的信用も厚く、裕福な家庭でした。留学に行く前に「ホストファミリーは当たり外れが大きい」と聞いていたから、「私、当たりじゃん!」と喜んだのを覚えています。

 ただ、初めて見るデトロイトの景色は壮絶で……。ビルの窓ガラスは割れっぱなしだし、建物は古びているし。ホストファザーから「昼でも夜でも、女の子1人では絶対外を出歩いちゃいけないよ。強姦されるから」と言われて背筋が凍りました。

 その3年後にデトロイトは財政破綻をしているので、当時はピークで治安が悪かった頃なのだと思います。

アメリカ・デトロイトに留学したときのなるチャン(本人提供)

――最初は「良い家族だな」と思ったホストファミリーの印象が変わったきっかけは?

NARUMI 到着したその日には、「あれ?」と思うことがありました。高校生の長男とホストファザーが、家中に響き渡るような大声で激しく怒鳴り合いだして……。

 それまでの人生でそんな喧嘩を見たことがなかったから、とても怖かった。でも、ほかの家族は誰も何も言わないから、「これも文化の違いってやつなのかな?」と、気にしないように努めました。

――しかし、その後も「あれ?」と思うことがどんどん増えていったそうですね。