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「ホストファミリーの長男が薬物中毒」「父親は食事中に息子の首を絞めて…」17歳でアメリカ留学した私が現地で経験した“壮絶生活”

なるチャンインタビュー #1

2023/07/23
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NARUMI ホストを変えるリスクの方が怖かったんです。「今以上にひどいところに当たったらどうしよう」って。他の留学生の話を聞くと、「ゴミ屋敷だった」「ご飯を満足に出してくれない」「性的関係を求められた」とか、もっとひどい状況に置かれている人もいました。だから、「衣食住に困らない私はマシな方」と思い込んでいたのかもしれません。

 また、留学中のトラブルは、現地の「エリアコーディネーター」という人たちがサポートしてくれるのですが、当時は「その人たちに相談しても解決しないことの方が多い」と聞いていたから、相談すること自体を諦めていました。

 

エリアコーディネーターに言われた驚きの“クレーム”

――なぜ相談しても解決しないと思ったのでしょうか。

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NARUMI 英語をうまく話せない子どもの相談だから、ですかね。エリアコーディネーターも、意地悪で対応しないわけじゃないんです。ただ、何かトラブルがあったとき、その内容を正確に説明できる英語力が私にはなかったから、「大したことなさそう」とみなされてしまう。

 あと、ホストファミリーからのクレームが、エリアコーディネーター経由で私宛に届いたことがあるんですよ。家事を手伝ったり、次男のお世話をしたり、プレゼントを贈ったり、英語が苦手な自分なりに精一杯家族と関わっているつもりでした。でも、ホストマザーから見た私は「自分の意見を言わない、何を考えているかわからない子」だった。

 ホストマザーから私の話を聞いたエリアコーディネーターは、「あんなに良い家族を悲しませないで! もっと努力しなさい!」と怒っていましたね。反論したくても、英語力が足りなくて何も言えず……。あのときは本当に悔しかった。

ホストファミリーとの関係を相談できる相手もいなかった(本人提供)

――日本の家族には相談しなかったのでしょうか?

NARUMI 私のときは、「語学を学ぶために来ているから」という理由で、留学中は親との連絡を控えるように言われていました。とはいえ、私はメッセンジャーを使って親とやりとりしていたんですけどね。

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