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「ホストファミリーの長男が薬物中毒」「父親は食事中に息子の首を絞めて…」17歳でアメリカ留学した私が現地で経験した“壮絶生活”

なるチャンインタビュー #1

2023/07/23
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 ただ、「親に心配をかけたくない」って気持ちが強くて、詳細は言えませんでした。あの頃の私はまだまだ子どもで、視野が狭かったんです。

 結局、ホストファザーが長男に大怪我を負わせたことで、虐待と判断した行政が動き、私も保護されることに。その後は留学中にできた友人の家に移り住んで、無事に1年の留学プログラムを終えました。

 

過酷な環境でも日本に帰国しなかった理由

――誰が見ても辛い状況の中、途中で日本に帰る選択肢はなかったのでしょうか。

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NARUMI それはまったく考えていなかったです。私が留学する前に、高校の同じクラスの子が留学していて、その子も1年のプログラムで参加したのですが、半年で戻ってきてしまって。詳しくは聞いていませんが、文化も環境も違う生活に耐えられなかったようです。

 途中で帰国することも、もちろん選択肢のひとつ。でも、その子は日本に戻ってきたのに嬉しそうじゃなかったんですよね。ずっと、諦めたことを後悔していました。

 留学は期間が決まっています。裏を返せば、どんなに辛いことも時期がくれば終わるんです。だったら、「後悔しないためにも『やりきった』と思って帰国したい、それまでは何があっても頑張ろう」と思っていました。

――もし今のNARUMIさんがあの頃に戻ったとしたら、どう行動すると思いますか。

NARUMI 留学を続けながら身の安全も確保するなら、まずは親に状況を説明して、親から日本の留学団体に相談してもらいますね。留学団体には必ず英語も日本語も話せる人がいるので、その人から現地のエリアコーディネーターに連絡を入れてもらう。そうすれば、英語が拙くても、子どもでも、状況は開けていたと思います。

撮影=細田忠/文藝春秋

私はアメで、明日は晴れで

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なるチャン

KADOKAWA

2023年5月24日 発売

「ホストファミリーの長男が薬物中毒」「父親は食事中に息子の首を絞めて…」17歳でアメリカ留学した私が現地で経験した“壮絶生活”

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