夏がまた本気を出してきた――。
朝からギラギラした日差しに焼かれ、息苦しいほどの熱帯夜を過ごす日々。夏バテ防止のために何か食べないといけないのに、なかなか食事が進まないという人も多いのではないでしょうか。
そんな厳しい日本の夏にそっと寄り添ってくれるのが「そうめん」です。しかし一口にそうめんと言っても味わいはいろいろ。もちろん鉄板そうめん「揖保乃糸」は美味しいですが、世の中にはまだまだ知らない美味しいそうめんが存在しているかもしれません。
そこで、約150種のそうめんを食べてブログでレビューしてきた筆者がそうめんの基礎知識とともに「これはうまい!」と唸らされたそうめん15種を紹介した記事を再公開。今夏を乗り切るための“食卓の相棒”をせひ探してみてください(初出2021年9月10日)。
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2種類のそうめん
そうめんの代名詞と言えば揖保乃糸。日本でもっともよく食べられている手延べそうめんで、口にすれば誰しもが「そうめんはやっぱり揖保乃糸だなぁ」と呟きたくなるおいしさです。
日本全国どこにでも揖保乃糸はあります。しかもこれがそうめんの中でも最高クラスにおいしいというのはすごいことです。
さて、ここで「おや?」と思われた方もいるかもしれません。ここまで「そうめん」という言葉と「手延べそうめん」という言葉が出てきました。あえて書き分けているのですが、ここがとても重要なポイントです。
というのも、そうめん(広義)には「手延べそうめん」と「そうめん(狭義)」があるからです。後者は機械麺・機械そうめんとも呼ばれているのですが、両者はまったくの別物です。
では、手延べそうめんと機械麺の違いは手作りか機械製かの違いかというと、そうではありません。
手延べそうめんは生地を太い麺状にして、よりをかけながら徐々に細く延べていきます。その工程において機械が使われることもあるのですが、手作業で延べる工程も必ず含まれています。一方、機械麺は機械で生地を薄い板状にして細く裁断します。
おいしいそうめんを食べたければ、手延べそうめんを
つまり、手か機械かという違いもあるのですが、延べるか裁断するかという違いが手延べそうめんと機械麺の本質的な差で、もっと言えばおいしさの差にもなるということです。