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突然聞こえてきた、女性の声
部屋に一人でいると、突然女性の声が聞こえて来たというのです。
「分かるよね。私の気持ち、分かるよね」と。
その声は、男性の耳元で聞こえるそうなんですが、もちろん部屋には誰もおられません。
男性が恐怖を覚えながら、部屋中を見回していたその時、突然、手首に冷たい何かが巻き付いたように感じたそうです。
何だろうと見ると、 手首から先しかない女性の手が、男性の手首をギュッと握っていたらしいのです。
男性は恐怖のあまりその手を払いのけると、手はボトッと床に落ちて、スッと消えたといいます。
「あれは間違いなく、あの手紙を書いた女性が亡くなった後、気持ちが分かると言ったので私についてきたのだと思います。何もできない私を頼ってきたんです。どうかご住職、今までの賽銭は全部返しますし、お布施もちゃんとするので、お経をあげてもらえませんか」
そう言いに来られたそうなんです。
ご住職は驚きながらも、
「そうですか。分かりました。お経をあげさせて貰いましょう」
と言い、お経をあげられたという事です。
お経をあげた後、ご住職は男性にこんな話をされました。
「あなたは、神仏に裏切られたと言われましたね。お賽銭をあれだけしたのに、自分には何もしてくれない。そうお考えでしたよね」
そう言うと、男性は黙って頷かれたそうです。