〈あらすじ〉
若き女性作家ラマ(カイジ・カガメ)は、フランス北部の町サントメールを訪れる。次作の取材のための、裁判傍聴が目的だ。
被告は、生後15カ月の娘を海辺に置き去りにし、殺人罪に問われた女性ロランス(ガスラジー・マランダ)。セネガルからフランスに留学し、完璧なフランス語を話す彼女は無罪を主張する。娘の父親である男性の証言とも食い違い、真実がどこにあるのかがわからない。裁判が進むに連れて、妊娠4カ月を迎えたラマの精神状態が次第に不安定になっていく。
〈解説〉
ドキュメンタリー作品で評価されてきたセネガル系フランス人のアリス・ディオップ監督の初長編劇映画。実際の裁判記録をそのままセリフに使用した法廷劇。第79回ベネチア国際映画祭で銀獅子賞(審査員大賞)と新人監督賞を受賞。123分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★☆☆実の子を死なせた女の話と、その裁判に接した女性作家の精神的混乱(母への恨み)。感情移入できず困惑。法廷劇は苦手。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆肖像画を思わせる画面の陰で、濃密な血液が複雑に混じり合う。「隠す」行為の根源に、知と情の両面から肉薄している。
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斎藤綾子(作家)
★★★☆☆硬い表情の被告。彼女を見つめるラマの狼狽える眼差し。問いただすような長い間合い。観客の様々な記憶を刺激しそう。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆法廷劇の定石を超えた。正義や解決を求めるのではない。テキストの多層性から個の生き難さと社会的抑圧を炙り出す。
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洞口依子(女優)
★★★★☆ドキュメンタリーとフィクションの交差。移民、母性、ポストコロニアルなタブローといい、映画の魔法がおりていた。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATION
『サントメール ある被告』(仏)
Bunkamuraル・シネマ 渋谷宮下ほか全国順次公開中
https://www.transformer.co.jp/m/saintomer/#m