〈あらすじ〉
オーストリア人のヨーゼフ(オリヴァー・マスッチ)は、ロッテルダム港からアメリカへ向かう豪華客船に乗り込む。実は彼は、かつてウィーンで公証人を務めていた時、ナチスの命令に従わなかったがゆえに、ホテルの一室に長期間監禁されたという過去を持っていた。
船上ではチェスの大会が開かれている。ヨーゼフは駒に触るのはこれが初めてだというが、ひょんなことから、チェスの世界王者と対戦することに。その脳裏に蘇るのはゲシュタポとの対決だった――。
〈解説〉
オーストリアの作家、シュテファン・ツヴァイクのベストセラーが原作。一冊のチェス本を武器にナチスから逃れた壮絶な過去をチェスの試合と重ねて描く。『千年医師物語 ペルシアの彼方へ』に続くフィリップ・シュテルツェル監督作。112分。
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中野翠(コラムニスト)
★★★★☆何と言ってもストーリーの面白さ。船という閉鎖的な空間での頭脳戦。主人公とチェスの出合いにも、ひとひねりあり。
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芝山幹郎(翻訳家)
★★★★☆ナチス秘話の一種だが、もともと脆弱な知性や精神の守り方を具体的に示している。堅実な俳優が演じると説得力が高い。
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斎藤綾子(作家)
★★★★☆監禁された暗い部屋とヨーゼフの心の闇に、ピンク色の柔らかな妻の肌が救いの温もりを感じさせる。終わり方もいい。
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森直人(映画評論家)
★★★★☆ツヴァイクの名作中篇を良質のエンタメに仕上げた。頭の中の自由と狂気の時代をめぐる物語の面白さを堅実に伝える。
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洞口依子(女優)
★★★☆☆ツヴァイクのチェスの話を収拾するより映画描写を覗く。W・アンダーソン作品のツヴァイク魂よりも上塗り感はある。
- もう最高!ぜひ観て!!★★★★★
- 一食ぬいても、ぜひ!★★★★☆
- 料金の価値は、あり。★★★☆☆
- 暇だったら……。★★☆☆☆
- 損するゾ、きっと。★☆☆☆☆
INFORMATION
『ナチスに仕掛けたチェスゲーム』(独)
7月21日(金)よりシネマート新宿ほか全国順次公開
https://royalgame-movie.jp/