その後、宮田さんから『あなたの家の前にいる。早く来た方がいい』と連絡があり、自宅へ急ぎ戻った被告は、家の前で宮田さんと遭遇。宮田さんに直接『(奥さんと)別れないなら、赤ちゃんと奥さんを殺す』とまで言われたというのです」(同)
「逃げたい、死にたい、その一心でした」
「もう、死ぬしかない」
あたりはまだ暗い午前4時半ごろ、片桐被告は宮田さんにこう伝えると、彼女は2回うなずいたという。車の後部座席で互いの首にシートベルトを巻きつけ、被告は一気に力を込めて宮田さんの首を絞めた――。
7月13日の被告人質問で、この時の心境について弁護士に問われた片桐被告はこう述べた。
「この人から逃げるために、これが終わるために、逃げたい、死にたい、その一心でした」
「何も考えられていなかった。余裕がなかったと思います。気づいた時には、被害者の口から血が出ていたのが見えて、殺害してしまったと思った」
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一緒に死ぬつもりだったのなら、なぜ犯行後に自殺を試みなかったのか
宮田さんの行動や証言についてはあくまで、被告側がそう主張しているにすぎない部分がある。死人に口なしで、宮田さんが亡くなった今となっては「真相はやぶの中」だ。しかし、1日に666回もの着信があったこと、700万円を支払ったことなどは事実で、宮田さんに片桐被告が相当に追い詰められていたのは確かなようだ。被告側は今回の事件は「追い詰められた上での同意殺人」だったとして、情状酌量を求めている。
一方の検察側は、「宮田さんは、自分と一緒に死ぬことを前提に承諾したが、被告人は死ぬつもりがないのに、あるように装って殺害した」と指摘。「身勝手な動機、経緯に酌量の余地はなく、意思決定が強く非難される」とした。前出の事件担当記者が続ける。
「検察は、『(一緒に死ぬつもりだったのなら)なぜ被告は宮田さんを殺害したあとに自殺を試みなかったのか』と追及しています。そもそも被告は、宮田さんを殺害後、遺体を雑木林に埋めて隠した上、その後、平然と勤務先の高校に出勤していた。そのあたりの犯行後の態度について、検察は重くとらえているのです」
今後、片桐被告の裁判は7月24日に検察による求刑が行われ、28日に判決が言い渡される予定だ。