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そして迎えた復帰戦、対峙したのはオリックスだった

 キャンプインしてからもリハビリは続いたが「術後10か月4週目にファームで初登板をして、2か月弱で19試合に登板しました。試合で投げるペースはとてもスムーズに上げられた」と順調に回復をしていく中、支配下登録の期限が迫って来たときも「とにかく頑張ります」と前を向いて投げ続けていた澤ちゃんから吉報が入る。

「お疲れ様です! きょうロッテの支配下契約になり、背番号66番になりました! 一軍に上がるチャンスはあると思うので、モノにできるように頑張ります!」

本人提供

 この連絡が来たとき、まるで私が澤ちゃんの重い球を受けたかのような大きな喜びを感じた。「実戦復帰してから、日々がむしゃらに目の前の登板に集中していたので、そこを評価していただけたのはとても嬉しかった」と本人も喜びを噛み締めていた。

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 そして一軍に昇格し、復帰戦のマウンドに対峙したのは古巣オリックス打線だった。152キロのストレートで、頓宮を空振り三振、宗佑磨を三ゴロに打ち取るという絵に描いたような復活劇に「まだ160キロには遠いですけど、あの日自分ができる最高のパフォーマンスで絶対に抑えてやるという気持ちがプロに入ってから一番あったと思う」と言うまでもなくかなり燃えるものがあったようで「ここ3年間は怪我で常に離脱してしまうシーズンだったので、いつも応援してもらってる人たちに喜んでもらえたのが一番嬉しい」と周りの反響も大きかったという。

本人提供

「京セラでの声援は忘れる事はないです」

 そして今季2度目の登板では1563日ぶりとなる今季初勝利をマーク。これにはロッテファンの後押しも大きかったそうで「ロッテの応援は本当に凄いなと感じました。凄くまとまりのあるチームなので本当に野球に取り組みやすいです」とファンの声援と、ロッテというチーム環境がすぐに溶け込める雰囲気があったことが、澤ちゃんに見えない力を与えたようだ。

 また大阪桐蔭時代の盟友である藤浪晋太郎のメジャー挑戦も「凄く刺激になります。僕もいつかは……という気持ちにもさせてくれてますね!」と刺激と希望を持たせる一因となっている。

 現在オリックスはロッテと首位争いを演じているだけに、澤ちゃんの存在は我がオリックスにとって、これから厄介な存在になりそうだが「オリックスファンの皆さんには本当にいつも温かい声援を貰ってました。今は敵になりましたが、2021年リハビリ復帰登板の時の京セラ(ドーム大阪)での声援は忘れる事はないです」なんて言われてしまうと、澤ちゃんには敵ながら頑張って欲しいと思ってしまうのではないだろうか。

 だけど澤ちゃん、オリックスは3連覇に向けて負けないよ! 今度はピリピリした場面での対戦が見たい。その舞台は優勝争いなのか? CSなのか? その場面が来る日を楽しみに待ちたい。

本人提供

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