文春オンライン

「あ。僕だよ。ジャニーだよ」といきなり電話が…カウアン・オカモトが明かす“異例の初対面”《ジャニーズ性加害》

『ユー。ジャニーズの性加害を告発して』#1

source : ノンフィクション出版

genre : エンタメ, 芸能, 社会, 読書

note

オカモト氏が耳を疑った言葉

 やっと歌い終わると、怖い人として知られているサンチェさんが言ってくれた。

「ああ、いいね。おまえさ、ジャニーズの曲は歌えないの?」

「あんま、わかんないですね……」

ADVERTISEMENT

「ジャニーズに来てんのに、ジャニーズが歌えないの? 面白いな、おまえ」

 すると、ジャニーさんは、思わず耳を疑う言葉を口にしたのだ。

「いいよ、ユーは。とりあえずMC出る?」

 意味がわからない。

「出るって何ですか」

 って聞き返すと、

「いや、ライブで、歌える?」

 中三の僕はもちろんそれまでステージで歌った経験など、一度もない。それどころか、カラオケさえ行ったことがなかったほどだ。だけど、海外アーティストのドキュメンタリーをたくさん見ている僕の気分は、すでにジャスティン・ビーバーだった。

 俺のストーリーはもう始まっている!

 だから、こう即答した。

「はい、いけます!」

「お客さん、5000人ぐらいいるけど、ユー、いける?」

「いけます!」

「とりあえずSexy Zoneを紹介するよ」

©️時事通信社

メンバーたちの反応は

 軽く打ち合わせをしなくちゃということで、午後6時から始まる3回目の公演の本番前に、いきなりメンバーに紹介された。彼らからすれば、ようやく実現した初のワンマンライブなのに、見ず知らずの僕がステージに出るといきなり言われたのだ。「何?」「誰なの?」と戸惑うのは当然だ。

「あ、どうも……」

 みたいなよそよそしい雰囲気だったが、ジャニーさんは気にする様子もない。

「ケント(中島健人)とフウマ(菊池風磨)さ、カウアンがジャスティン・ビーバーを歌うんだけど、とりあえず紹介できる?」

「あ、はい」

「じゃあ、友達だってことにしよっか」

 とサンチェさんが提案し、みんなは「あ、はい」「わかりました」と答えたものの、明らかに不満顔だった。僕も、「すみません……」と言うしかなかった。

 そのままライブが始まり、MCの時間になって、

「今日は、友達を連れて来てるんです」

 と切り出された。