摂食障害に苦しむなかで「第54回ミス日本コンテスト2022」に挑み、グランプリに輝いた河野瑞夏さん(22)。

 一時期は体重が30キロ台にまで落ち込んだという彼女に、コロナ禍がスイッチとなった過食、精神科で受けた治療、ミス日本にエントリーした理由などについて、話を聞いた。(全2回の2回目/最初から読む

河野瑞夏さん 

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コロナ禍で過食に転じて

――過食の背景には、コロナ禍があったと。

河野瑞夏(以下、河野) 2020年、大学2年生の春にコロナ禍になって、大学がオンライン授業になって、通っていたジムは閉鎖されてしまって。家にいると私が痩せたことに気づいた母の目があるし、母が食事も作ってくれるので、いままで自分で作っていたご飯も食べられなくなって。

――その頃はお母さんは瑞夏さんの摂食障害を認識していたわけですよね。

河野 なにかおかしいと思っていたらしいんですけど、親もコロナ禍でかなりの鬱状態になってしまって。お互いに自分のことで精一杯みたいな。父はずっと出張でニューヨークにいて、あっちも当時は大変で動きようがなくて。

 それでも母がいろいろご飯を作って出してくれていたんですけど、本当に食べられないから「これ、ひとり分じゃないよ。絶対多いよ」とか文句ばかり言っていましたね。作ってくれるものすべてに文句を言って、とにかく食べるのを避けようとして。

2019年7月 体重は44kg(写真は本人提供)

――過食をする直接的なきっかけは。

河野 高校のダイエットのときから、自分のなかで煎り大豆は食べていいと決めていたんです。といっても、毎回そんなに食べすぎないように気をつけていたんですけど、ジムにも学校にも行けないストレスでいままでにないぐらい食べちゃって。それからブチッと気持ちの糸が切れて、ナッツをワーッとすごい量食べてしまって。

過食をしている間は、時間が永遠に止まっているような感じ

――過食をしている間は多幸感に包まれていたりするのですか。

河野 多幸感みたいなものはあったと思いますね。鮮明に覚えているわけじゃないんですけど、時間が永遠に止まっているような感じ。それが一番しっくりくるかな。マリオの無敵モードみたいな。なにをしても許される時間が、食べ続けることで永遠に伸びるという感覚です。でも、その後に凄まじい後悔が待ち受けていて。

――後悔して、今度は食べなくなる。

河野 ワーッと食べた夜の翌日は断食状態ですね。朝になっても起きないで、ようやく起きても部屋に閉じこもって何も食べずに鬱々としている感じです。

――過食する瞬間は、食べたかった欲求に突き動かされる感覚ですか。

河野 めちゃめちゃ食べたい欲求はあったと思います。