レンジで温めるという空白の時間がちょっとでもあることが怖い
――過食してしまうにしても、ナッツを選ぶあたりは食事に気をつけている感があります。
河野 そうなんですよ。私、異常なまでに糖質への恐怖があって。過食が減少傾向になってからも、その呪縛が解けないところはありますね。なので、どちらかというと、体にいいものを選んでいるというよりも、あくまで自分の許せる範囲で、という感じではあるんですけど。
でも、過食を覚えてからは、チョコやクッキーにも手を出すようになりましたけどね。本当に欲求が限界になると、冷蔵庫に入っているソーセージや冷凍食品をレンチンせずにそのままいっちゃったりして。調理したり、レンジで温めるといった、空白の時間がちょっとでもあることが怖いんですよね。
――ナッツだと、一気にどれくらいの量を。
河野 300グラム入った袋を。ナッツは100グラムで600とか700キロカロリーあるから、だいぶですよね。それプラス冷凍食品やソーセージ、チョコとかカントリーマアムの袋もいってしまうので。
食べ終わって気がつくと、ゴミの山に囲まれているという。
――その量が一気に胃に入る。
河野 自分でもビックリしました。「こんなになるんだ」とか「なんだか妊婦みたいだな」と思って、写真を撮ったりしてました。体は痩せているのにお腹だけボコッと出ているのが、面白いというか。
でも、やっぱり食べているから太ることは太るので、それが恐怖になって写真を撮れなくなりました。
「一気に食べて、それをチャラにするのには吐けばいいんだ」
――吐いてしまうこともあったと。
河野 吐くようになったのは大学2年生の6月ですね。過食に転じたのが4月なので、わりとすぐになりました。豆乳をガーッと飲んで、そのままガーッと吐いたときに「あ、胃にスペースができた。まだいける」と気づいたというか。それで「一気に食べて、それをチャラにするのには吐けばいいんだ」って。
――手に吐きダコなどは。
河野 私は指を入れたことがなくて。いっぱい詰め込んだものがウッと上がってきて、吐いてしまうんですね。毎日1リットルの豆乳を一気飲みして、その水圧で吐くみたいな。指を入れたり、チューブを胃まで入れたり、吐く方法はいろいろとあるんですけど、「それを覚えたら、たぶん戻れなくなる」と思っていました。
――精神科で治療を受けたそうですが、どういったタイミングで?
河野 大学2年生の7月ですね。母がキッチンで吐瀉物を目にして、「これはいけない」と。そこで母が病院に行こうと。
私は食べたらキッチンのシンクに吐いていたんです。食べて吐くを、一連でできるのがキッチンだったので。ある日、朝の4時くらいまで食べては吐いてたんですが、さすがに吐き疲れて、そのまま流さずにキッチンで寝ちゃったんです。それを母が見つけたと。
――お母さんに受診を勧められて反発はしませんでしたか。