全日本女子プロレスで一世を風靡したダンプ松本。しかし、先輩からは壮絶なイジメを受け、過激なファンからは嫌がらせ…。膨大な売り上げも、ほとんど手にすることができなかった現役時代を辿る。(全3回の2回目/#1、#3を見る)
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新人レスラー時代に苦しめられた先輩からの壮絶なイジメ
――高校卒業後、1980年にプロレスラーとしてデビューされました。新人時代は先輩から壮絶なイジメがあったと聞いています。
ダンプ デビューから2年くらいは、イジメの標的にされ続けたよ。太ってたし人より動きも遅かったから、ターゲットにされやすかったんだと思う。
――どんなことが起きましたか?
ダンプ 当時は今じゃ信じられないけど、年間300日くらい試合があったんだよ。全国をバスで回るんだけど、移動中はカーテンも閉じられているし、地方に行っても観光なんて楽しむ余裕もない。先輩たちもやることないし、イジメでストレス発散してたんだろうね。
たとえば、バスの中に洗濯物を干す大きなハンガーがあって、そこに選手のコスチュームとか下着を干してるんだけど。先輩がふざけて、「お前、ちょうどいいから洗濯物と一緒にハンガーに吊るす!」って言うんだよ。何がちょうどいいのかわからないけど、私のTシャツの両肩を洗濯バサミで挟んで、上から吊るされて立ってろって言われて、そのまま2時間。
――踵は、浮いてる状態ですか…?
ダンプ ううん、持ち上がらないからね。どんだけ頑丈な洗濯バサミだよっ!ありえないでしょ(笑)。それに、服を洗濯バサミで挟まれても動けばすぐ取れるんだけど、逃げたり逆らうなんてできないので。
あと、これもバスで移動中の話で、給油に立ち寄ったガソリンスタンドで「まんじゅう買ってこい!」って言われるんだよ。おもちゃのお金…、人生ゲームのお札を持たされて、聞こえるように大きい声で「まんじゅう、ください」って言えって命令されるの。店の人だって忙しいから「ふざけるな!」って怒鳴られて、先輩たちはそんな様子をバスから見てクスクス笑ってた。しかも、ガックリしてバスに戻ると既にバスが発車していて、真っ暗な夜道を1キロくらい走って追いかけて。運転手さんもイジメを働いた先輩たちに言われて、発車せざるをえなかったと思うんだけどね。