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 悔しくても泣くと怒られるし、布団の中でひっそり泣くしかなかった。うちらが上になったときは、そういうことで楽しもうとは思わなかったけどね。

 イジメの種類も色々あって、自分みたいなイジメに遭う人もいれば、「お疲れ様です!」って挨拶をしてもひたすらシカト。自分の存在を無視され続ける人もいて、それも相当な苦痛だったと思う。

リング外で倒そうと思いませんでしたか?

――ダンプさんは、いつか先輩に仕返ししようとは思ったことはありましたか?

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ダンプ ないよ。だってリングの上では先輩後輩無くなるから、強くなれば先輩をやっつけられると思ったし。絶対強くなる、強くなるって思って頑張ったの。見返してやりたいって。

 ただ、自分が倒す前に相手がプロレスを辞めちゃったんだよね。

――リング以外で倒そうと思ったことはありますか?

ダンプ ないね。リングを降りたら縦社会だから。相手が引退してもね。今もそうなんだけど、先輩がプロレスを1、2年しかやらないで辞めました。自分は30年以上やっていて、今なんかうんと上の方だよ。でも、今でも先輩が何か言えば、はいはいって言わないといけないの。それに、仲良しになっちゃったからね。

――え、仲良しになるんですか?散々自分をイジメてきた相手と仲良くなれるものですか…?

ダンプ 歳とるとね(笑)。誰々の葬式行きますか?とか、自分が連絡してあげたり、一緒に飲んだりするからさ。しかも、「あのときあんなことありました」って言っても覚えてないんだよ。全然覚えてないし、もう普通に働いてるから名前を出すなって怒られる。イジメってやったほうは覚えてないんだよ。なんで忘れちゃうだろう。これっぽっちも覚えてないし、私じゃないよって言うんだから…!おめえだろって思うけど(笑)

年間売り上げ約30億円。カネがダンボールに入りきらない

――1980年代は女子プロ人気がどんどん加熱していきました。ダンプさんは、本名の松本薫からダンプ松本に改名し、髪の毛は金髪、舞台用の特殊メークを使ってヒール役として毒々しいメークに。クラッシュギャルズの人気と共に女子プロは常に注目され、テレビ視聴率は20%越え、試合会場はどこも超満員でした。