文春オンライン

新車に硬貨で「死ね」、実家に石を投げられ、先輩からは壮絶なイジメ…悪役レスラー・ダンプ松本(62)の“苦悩に満ちた現役時代”

ダンプ松本インタビュー#2

2023/08/19

genre : エンタメ, 芸能

note

 全日本女子プロレスで一世を風靡したダンプ松本。しかし、先輩からは壮絶なイジメを受け、過激なファンからは嫌がらせ…。膨大な売り上げも、ほとんど手にすることができなかった現役時代を辿る。(全3回の2回目/#1#3を見る)

◆◆◆

新人レスラー時代に苦しめられた先輩からの壮絶なイジメ

――高校卒業後、1980年にプロレスラーとしてデビューされました。新人時代は先輩から壮絶なイジメがあったと聞いています。

ADVERTISEMENT

ダンプ デビューから2年くらいは、イジメの標的にされ続けたよ。太ってたし人より動きも遅かったから、ターゲットにされやすかったんだと思う。

©杉山秀樹/文藝春秋

――どんなことが起きましたか?

ダンプ 当時は今じゃ信じられないけど、年間300日くらい試合があったんだよ。全国をバスで回るんだけど、移動中はカーテンも閉じられているし、地方に行っても観光なんて楽しむ余裕もない。先輩たちもやることないし、イジメでストレス発散してたんだろうね。

 たとえば、バスの中に洗濯物を干す大きなハンガーがあって、そこに選手のコスチュームとか下着を干してるんだけど。先輩がふざけて、「お前、ちょうどいいから洗濯物と一緒にハンガーに吊るす!」って言うんだよ。何がちょうどいいのかわからないけど、私のTシャツの両肩を洗濯バサミで挟んで、上から吊るされて立ってろって言われて、そのまま2時間。

ダンプ松本

――踵は、浮いてる状態ですか…?

ダンプ ううん、持ち上がらないからね。どんだけ頑丈な洗濯バサミだよっ!ありえないでしょ(笑)。それに、服を洗濯バサミで挟まれても動けばすぐ取れるんだけど、逃げたり逆らうなんてできないので。

 あと、これもバスで移動中の話で、給油に立ち寄ったガソリンスタンドで「まんじゅう買ってこい!」って言われるんだよ。おもちゃのお金…、人生ゲームのお札を持たされて、聞こえるように大きい声で「まんじゅう、ください」って言えって命令されるの。店の人だって忙しいから「ふざけるな!」って怒鳴られて、先輩たちはそんな様子をバスから見てクスクス笑ってた。しかも、ガックリしてバスに戻ると既にバスが発車していて、真っ暗な夜道を1キロくらい走って追いかけて。運転手さんもイジメを働いた先輩たちに言われて、発車せざるをえなかったと思うんだけどね。

関連記事