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「ママの家も燃やすことができる」

 そして被告は2021年4月13日、不凍液を混ぜたコーラやウイスキーを旬子さんに飲ませる。富士子被告はあとから飲み物に不凍液が入っていることを大悟被告に聞かされ、協力を求められた。以降、ふたりは日をまたぎ複数回、旬子さんに不凍液を飲ませ、4月20日深夜には階段から突き落とし殺害した。

 さらに被告はその5日後、旬子さんの元夫・和彦さん宅に火をつけ、和彦さんを殺害しているが、法廷では「火をつけた記憶はない」と繰り返していた。

「気がついた時にはすごい火が出ていて、びっくりして逃げた。そこで我に返りました。気が動転して、通報しなかった」(被告人質問での証言)

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 だが証人として証言した母・富士子被告によれば、大悟被告は事件前に「お金を返したくなくなった。殺したくなった」「和彦さんの家を放火する」などと言い、エンジンオイルを購入していたという。

「冗談でもそんな恐ろしいこと言わないで」

 富士子被告は止めたが、大悟被告にこう言われたという。

「ママの家も燃やすことができる」

伯母の元夫の家は2階の屋根が焼け落ちている ©高橋ユキ

親類宅から無断で持ち出した貴金属などをメルカリで販売

 大悟被告は外資系企業に勤めていたころから、メルカリの出品でも金を稼いでいた。しかも自分の所有する不用品を売るのではなく、親類から得た品物や、さらには親類宅から無断で持ち出した貴金属などを売りさばいていた。和彦さん宅からも、絵画を盗み、クレジットカードを無断で持ち出しロレックスを購入、それらを売却していた。これを和彦さんに疑われたのだった。

 判決によれば「多額の資金援助を受けるなどしており関係は良好であったとうかがわれるところ、4月以降、被告人による絵画の窃盗やクレジットカード不正利用に起因して和彦さんとの関係が悪化」し、話し合いが持たれたという。公判では“火をつけた記憶はない”と繰り返していたが、裁判所は大悟被告が放火し和彦さんを殺害したと認定している。事件前には「how to burn a house」などのワードでスマホ検索し、燃焼動画を閲覧していた。海外暮らしが長い大悟被告は、日本語よりも英語が得意だという。