千葉県市川市で2021年4月、伯母とその元夫を殺害したとして殺人や現住建造物等放火の罪に問われていた無職、一倉大悟被告(33)の裁判員裁判で、7月24日に判決公判が開かれ、千葉地裁(水上周裁判長)は被告に求刑通りの無期懲役を言い渡した。
起訴状などによれば被告は、伯母の姫野旬子さん(当時64)に不凍液を複数回飲ませたのち、階段から突き落として殺害。さらにその元夫・渡辺和彦さん(65=同)の家に放火し殺害したとされる。
被告は6月26日の初公判罪状認否で、伯母の殺人について「殺す気はありませんでした」と一部否認していたが、判決では、被告には確定的な殺意があったと認定された。また弁護側は、事件の計画性の乏しさなどを挙げ、無期懲役ではなく有期懲役を求めていたが、判決は、2件の殺人に計画性があったことを認めたうえ「被告人のために酌むべき事情を最大限斟酌しても、有期懲役刑を選択する余地はない」と断じている。
「殺人2件の各犯行の動機がいずれも金銭にまつわる利欲的側面を有する」と裁判所が指摘するように、親類2名の殺害の動機には、恨みではなく金が絡んでいた。
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親族2名を殺害し、母親を監禁して…
検察側は冒頭陳述で、一連の事件の構図をこう説明している。
「外資系企業に勤め高収入を得て贅沢な暮らしをしていた被告人は、会社を解雇されたが贅沢をやめられず、母の富士子とともに、伯母の旬子さんを殺害した。
さらに多額の金を貸してくれていた元伯父の和彦さんから、自分の犯した窃盗について問い詰められ、借金の返済期限を早められたことに不満を抱いたことから、和彦さんの家に放火し、家を全焼させ殺害したという事件」
親族2名を殺害しただけではない。それ以外にも被告は、自分の母親である姫野富士子被告(64)を監禁して縛り、暴力を振って肋骨多発骨折などの重傷を負わせ金を奪ったという強盗致傷や逮捕監禁致傷のほか、同じく母親に対しそれ以前にも暴力を振るったという傷害罪、そして和彦さんの家族のクレジットカードでロレックスを購入したという有印私文書偽造・同行使や詐欺などの罪にも問われていた。
被告は伯母を階段から突き落とす前に複数回、毒性のある不凍液をウイスキーやコーラなどに混ぜて伯母に飲ませていた。母親である富士子被告も、大悟被告とともに旬子さんを殺害したとして逮捕され、殺人などで起訴された。無罪を主張していたが懲役9年の一審・千葉地裁判決を不服として控訴。7月14日に控訴棄却の判決が言い渡されている。