設楽悠太の何が変わったのか?
西本 文化放送の松島(茂)アナウンサーが「今まで色々な箱根ランナーにインタビューしましたけど、一番困ったのは設楽悠太でした」と言うほど、無口で兄の陰に隠れていた悠太が、急にしっかりとした発言をするようになった。しかも無精髭をはやしたりしてちょっとワイルドになった(笑)。
マニア なりましたね。
西本 そしてこの1年、設楽は数々のロードレースに参加することで、1000mあった世界と自分との距離がどれくらい縮まったのか、確認していたのではないかと。
ポール チェコのウスティハーフマラソンでハーフの日本記録を更新したり、1週間後のベルリンマラソンでは6位に入賞したり、レース数もとにかく多かった。
マニア 出ているレースの次元もちょっと違うんですよ。ここにポールさんがまとめた表があるのでご覧ください。
【設楽悠太、今シーズンの主な戦績】
11月25日 八王子ロングディスタンス 27分41秒97 パーソナルベスト 日本人1位
12月3日 甲佐10マイル公認ロードレース 45分58秒 優勝
1月1日 ニューイヤー駅伝4区区間賞
1月21日 都道府県対抗男子駅伝7区区間賞
2月4日 香川丸亀国際ハーフマラソン 61分13秒 日本人1位
2月11日 唐津10マイルロードレース 46分12秒 優勝
設楽悠太はどこまで行くんだ!
ポール あらためてすごいですよね。
マニア はい。このどれもが、実業団選手としては、1つでもクリアすれば合格というハイレベルなレースなんですよ。そういうレースに全部出て、全部取ってる。設楽はどこまで行くんだって感じでしたよ。
西本 このあたりで我々は「設楽、日本記録出すってよ!」と確信するわけです。でね、だまっていたんですが、設楽悠太のツイッターアイコン。大迫傑が5000m日本記録保持者。村山紘太が10000m日本記録保持者。そして、結果的に設楽悠太がハーフマラソン、フルマラソン日本記録保持者。
マニア ああっ! このアイコンは日本長距離界日本記録保持者の集まりだったのか!
西本 そう。深読みすると、設楽悠太は自分がロードで活躍することによって、このアイコンを価値あるものにしようとした。そのために、2016年のこのアイコンを大事に使い続けてきたのではないかと。
ポール それは深読みしすぎじゃないですか(笑)。でも、それを狙うためにレースを組んだ可能性は高いですね。普通だと八王子ロングディスタンスで自己ベストを出した選手は、ニューイヤー駅伝ではピークがずれて好走はできない。それがエース区間の4区での区間賞。
西本 しかもトラックレースである、八王子ロングディスタンスではスパイクシューズではなく、ロード用のNIKEの厚底シューズベイパーフライ4%での自己ベストですからね。自己ベストを出すほどの高速トラックレースも設楽悠太にとっては、東京マラソンに向けたスピードトレーニングの一環だったのではないかと思われるのです。