ワシも、若い下っ端ながらにも、そんなことをよう思うてました。せやけど、その時代のワシに、たかだか3万円の銭、掴ませたところでなあにもなりゃしまへんと今なら思いますけどね。
「安いし、せっこい金額やなあ」
なお、なんとも無粋な話ではありますが、俗にいう「小遣い」ってやつの話もしましょう。極道であれば、上の者が下の者に「小遣いや」とさり気なく格好よく、気前よく渡すと思うてる人が多いんちゃうんかと……。否否、ちゃう、ちゃうですわ。そんなもんは漫画かVシネなんかの中の話で、ホンマご~っつたまにあるかないかぐらいの話なわけで、ないと同じです。
「ほれ、小遣い」なんて言う時なんかでも、上の人間のシノギを手伝って「小遣い」と言われて自分の稼ぎをもろてるだけや。
全く割に合わん。安いし、せっこい金額やなあ。上の人間の仕事をして、そのシノギの中から小遣い言われて貰うだけの話なわけで、そう思うてもしゃあない話。ホンマ、極道あるあるですわ。
ちなみに、極道の世界には「会費」っちゅうもんがありまして、親の組に渡さなあかん金をつくらなければならんのです。組員のシノギから徴収した金も、その会費に充てられるので、ワシの涙の3万円も親の組へと奉納されるために飛んでいくいうわけです。
極道の組織というのは、本体である親会社というモノがありまして、その下にいくつもに枝分かれしてできている子会社がたくさんあって成り立っとる。そう思ってもらえればわかりやすいかと思います。せやから、組員が多い組織になればなるほど、金もぎょうさん持っとるわけで、それだけ力もあるということです。(続きを読む)