「死後の世界はありますか」余命3週間の医者はか細い声で…
以前、とあるお医者さんに「人は死んだら無になる。三木さん、在りもしない話を語るもんじゃないですよ」と言われたことがありました。それからずいぶん経って、突然お電話をいただいたのです。か細いお声で「がんになりまして、症状からいって余命はあと3週間ばかりでしょう」とおっしゃる。そして「死後の世界は本当にありますか」……そう訊ねてこられたのです。驚きましたが「私は無にならないと思っています。お経にも、そう書いてあります」とお答えしました。するとどこかホッとしたお声で「そう説き続けてください」と。その2日後、容態が急変して亡くなられたそうです。
人間はそうそう強い生き物ではありません。だからこそ、死の恐怖に直面した時、怪談がひとつの支えになってくれる。死にゆく人もそこで終わりではない――そう教えてくれるのです。
ですから私にとって、「怪談は救いや教えをもたらすもの」です。人を傷つけ、苦しめる話は怪談とは呼べません。例えば遺族の方に「事故に遭ったお子さんは成仏できず、地縛霊になっています」と語るのはもってのほかです。とかく刺激を欲する世の中だからこそ、人として踏み越えてはならない境界線を常に意識しなければならない。ただ恐ろしがらせるより、大切なのは、その先にある「どう生きていくか」ですから。
私の目標は、怪談説法を通して皆さんに「一念三千の法理」をお伝えすることです。人の一念が三千もの世界を動かす。私も大黒さまのお告げで1憶5000万円の宝くじを当て、寺の修繕費に充てることができました。神仏の存在を信じて実直に生きていけば、大抵の物事はハッピーハッピーに回っていく。死んだあと、菩薩さんに「ようやった」と言われるように私も己に負けず精進せねばと思っています。
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