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「10万円必要なんだ」親戚から次々と金の無心、終わらない送金…フィリピンパブ嬢と結婚した34歳夫が語る“国際結婚の難しさ”

『フィリピンパブ嬢の経済学』より #2

2023/08/20
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 10年後、20年後、日本人が外国に「出稼ぎ」に行くことがないと言いきれるだろうか。円安、物価高、上がらない賃金。日本よりも貧しいと思っていたアジアの国々が、IT分野では日本よりも進んでいたり、目覚ましい経済成長を遂げだしている。フィリピンのGDP成長率は7.6%(2022年、フィリピン統計庁)だし、韓国には平均賃金や初任給平均で既に抜かれている。

義兄から「ビジネスで10万円必要なんだ」とお金の相談が…

 そんな過去や未来の世界情勢に思いをはせながらも、「今」送金している我が家では、送金の請求が来る度に、夫婦間で言い合いになる。

 頻繁に僕の元にまで連絡を寄こすミカの親戚たちは、二言目には「助けてくれ」という。

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 1年の中で、一番多く連絡が来るのはクリスマスシーズンだ。

「食費がない」「薬代が欲しい」「子供の学費を払わないといけない」であったり、「僕の彼女のおじいちゃんが病気で倒れたから助けて欲しい」のように、もう誰が誰だかわからないような無心もある。こうした連絡が、ミカの親戚や、フィリピン人の友人たちから次々に来る。ミカは親戚や知人からの申し出は「全部無視して」というが、父、母、フィリピンに住む姉からの金の無心には「送って」と言う。

 ある時、

「ビジネスで10万円必要なんだ」と、フィリピンに住むミカの姉の夫から、絶対に返済されないであろうお願いがきた。

「絶対に返す。毎月2万円ずつ送る。約束する」という。ミカに相談すると、

「あなたが決めて」とだけ言う。

「じゃあ断る」と断りの連絡を入れても、「頼む」と、しつこく何度も連絡が来る。

「返すって言ってるから絶対返すと思うよ」と、根拠のない話をするミカ。

「もう知らん。送ればいいんでしょ」と、うんざりして10万円をミカに渡した。

 年が明けても、案の定返済はなかった。

「やっぱり嘘じゃん」とミカに嫌味を言うと、「今お金ないだけ」とミカは義兄をかばう。

 そして、5カ月が経った頃、「10万円送金したって」と僕に言う。

「え!?」と驚いた僕が、ミカと一緒に送金会社に行ってみると、本当に10万円返ってきていた。