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「紙の保険証が安心」という主張の馬鹿馬鹿しさ
マイナカードが運転免許証や保険証と一体化できるのは、公的な本人認証機能があるからだ。仕組みは銀行のキャッシュカードと同じで、ICチップとパスワードによって、カードの真正な所有者だと確認できた場合に「本人」と認証する。
ところがメディアは、紙の保険証でもマイナ保険証と同じ行政サービスが受けられるとして、デジタル化に反対している。これがどれほど馬鹿げているかは、「通帳を銀行窓口にもっていけば口座から現金を引き出せるのだから、キャッシュカードは不要だ」という主張を考えればわかるだろう。
アナログの手続きには必ず手作業が必要になるから、そこでコストが発生する。それを無視して「高齢者には紙の保険証が安心」と主張するのは、そのためのコストは若者や現役世代に押しつければいいといっているのと同じだ。
マイナ保険証への一体化に反対する理由として、認知症の高齢者が入居する施設が保険証管理で困惑していることをメディアは大きく取り上げた。現在は紙の保険証を預かっているが、職員がマイナカードだけでなく暗証番号も管理するのは負担が大きすぎるという。
これも一見、「弱者」の立場からの正当な批判に思える(だから政府も対応に苦慮した)。だがよく考えると、メディアがいうように紙の保険証を残したとしても、この問題はまったく解決できない。なぜなら、これから認知症の高齢者の数はますます増えていくから。