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「両親共々命をたちたい」
コロナ感染拡大前の2020年1月、自民党の政治家(山田太郎参議院議員)がSNSで「あなたのために政治に何ができますか?」と訊いたところ、20代、30代の若者たちから「苦しまずに自殺する権利を法制化してほしい」との要望が殺到した。これはディストピア小説ではなく、現在の日本の話だ。
5日間の実施期間に2200件あまりのコメントが集まったが、90歳の祖母を60歳の母親と介護する30歳の独身女性は、未来には絶望しかなく、「60歳くらいで両親共々命をたちたい」と書いている。
「リベラル」を自称するメディアや識者は、「高齢者に押しつぶされる」という若者の不安を、「世代間の対立を煽るな」といって抑えつけてきた。その結果、高齢者を少しでも「不安」にすることはいっさい許されない、「老人ファシズム」ともいうべきグロテスクな社会が生まれた。
紙の保険証を残せば高齢者は「安心」かもしれないが、デジタル化が遅れるほど行政コストは膨らんでいく。このままでは、親を介護し看取ってから、自分は安楽死(自殺)したいと思っているやさしい若者たちの声は誰にも届かない。
岸田首相や河野デジタル相は、デジタル社会を実現しなければならない理由を率直に国民に語り、「高齢者切り捨て」というメディアの批判に対しては、「若者を切り捨てるな」と堂々と反論すべきだ。