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詐欺リスクは「紙の保険証」の方が高い
認知症の発症率は65歳以上の約16%、80代後半だと男性の35%、女性の44%で、2020年に600万人だった認知症患者は、25年には675万人に増えると予測されている。画期的な治療法が発見されないかぎり、20年後には800万〜1000万人に達するだろう。
当然のことながら、これだけの患者を介護するには施設がまったく足りない。問題は保険証の管理ではなく、「管理」できない認知症者が街に溢れることだ。
メディアはこの「不都合な事実」を無視し、政権批判に都合のいいエピソードとして、高齢者施設の入居者を利用している。問うべき「問題」は、施設に入居できない認知症者をどのように医療・介護サービスにつなぐかのはずだ。
キャッシュカードとパスワードが盗まれるとATMから現金を引き出されるのと同じように、マイナカードとパスワードが第三者の手に渡ると簡単に「なりすまし」ができる。これがパスワードを使ったデジタル認証のリスクだが、だからといって紙に戻すことはなんの解決にもならない。保険証には顔写真すらないのだから、デジタル以上に詐欺の温床になるに決まっている。
原理的に考えるならば、本人認証とは、アナログな身体をデジタルのデータベースにどのように紐づけるかという問題だ。そしていまのところ、パスワードに代わる方法はひとつしかない。それが生体認証だ。