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自称リベラルが主導する「現代のラッダイト運動」
スマホは指紋認証と顔認証を取り入れたことで、セキュリティが大きく高まった。多くの金融機関はこれを利用して、指紋認証だけで送金を完結できるようにしている。それ以外の生体認証には眼の虹彩や手首の静脈などがあり、究極の生体情報はDNAだ。
虹彩で公的な本人認証ができれば、カードもパスワードも不要になるから、それをどのように管理するかで悩む必要もない。それに加えて、(これからどんどん増えていくであろう)施設に入居できない認知症者にも、虹彩をスキャンすることで医療・介護、生活保護などの行政サービスを効率的に提供できるだろう。
これは机上の空論ではなく、インドが導入した先進的な個人ID制度「アーダール」は指紋と虹彩を登録し、コロナ禍では10億回のワクチン接種をスマホのアプリだけで混乱なく終わらせた(それに対して日本では紙の接種券を郵送した)。だとしたら、高齢者施設で生体認証を先行して始めればいいではないか。
19世紀前半、産業革命で織物工業に機械が導入されたことで、イギリスの労働者たちが大規模な機械破壊運動を始めた。技術の進歩に適応できない者たちは「ラッダイト」と呼ばれた。
リベラリズムとはもともと、科学や技術によってよりよい社会をつくっていこうという進歩主義を含意していたはずだ。ところが「リベラル」を自称するメディアは、前向きな提案をいっさいせず、紙とFAXの世界に戻せという「現代のラッダイト運動」を主導している。