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職員は取材に「再び悲劇が起きかねません」 

 前出の甲南医療センター職員が証言する。

「『手元に資料がない』とこの時は煙に巻かれましたが、その後も職員には一切残業時間は開示されませんでした。でも、実際には第三者委員会も労基署も、200時間前後の時間外労働をしていたと認定した。今思えば、病院にとって都合が悪い数字は隠蔽しようとしていたのではないか、という疑いが拭えません」

 さらに、こう続ける。

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「学会での資料作りにしても、若手の場合、上司の頼みを断ることができずにやらされるケースが大半。彼に業務量を調整することは出来なかったのではないでしょうか。また、病院側は『自己研鑽の時間は業務に含まれない』と強調していましたが、手術の準備、新薬の勉強…どれも患者さんのためにやっていて、立派な『仕事』です。にもかかわらず、残業時間については多くの職員が過少に申告しています。この現実に病院が真剣に向き合わなければ、再び悲劇が起きかねません」

高島晨伍さんの遺影を手にする母親の淳子さん ©共同通信社

 甲南医療センターに事実確認を求めると、書面で以下のように回答した。

――3月3日に行われた病院職員を対象にした説明会で、生前の高島医師の勤務について「業務量は担当患者数等の点で極めて多いとはいえない」「(業務量は)他の医師と比較して突出して多いとは言えない」と、病院側が説明したと聞きましたが事実でしょうか。

「報告書にあった記載をそのまま職員に伝えたものです。当院の見解としても、生前の高島医師の『業務量は担当患者数等の点で極めて多いとは言えない』『(業務量は)他の医師と比較して突出して多いとは言えない』とは考えております」

――職員から具体的な高島医師の勤務時間について質問が出た際、病院側は「資料を持ち合わせていない」などと明かさなかったと聞きましたが事実でしょうか。

「現段階では確認できません。ただ、3月3日、当日の説明会は、上に述べたように、第三者委員会の調査報告書の内容に関する説明会でした。ですから、説明する側が調査報告書以外の資料を手元にもっていなかったということは事実ではあります」

――「週刊文春」の取材では、職員から「病院は『学会発表の準備は自己研鑽であり、時間外労働には該当しない』と説明しているが、若手医師にとっての学会発表の多くは上司からの指示、指導で行われており、自己研鑽も時間外労働に該当するものと考えるのが妥当だ」「前日の手術の予習や、最新の治療薬・治療法の勉強も自己研鑽に分類されることが多いが、日常診療を行う上で必要不可欠なことなので、本来ならば時間外労働に分類すべきだ」などの指摘が出ています。これらについて、貴院の見解を教えて下さい。

「当院における医師の自己研鑽の取り扱いは、平成31年3月28日に公表された厚生労働省『医師の働き方改革に関する検討会報告書』に依拠しております。したがって、当院の自己研鑽に関して独自の見解があるわけではありません。ご質問にある職員からの指摘が仮に事実であれば、当該職員は上報告書と違う意見にたつものです。当院としては、医師の自己研鑽の自由を確保するためには、上意見書にしたがいつつ、具体的な案件が生じたときには対応を致したいと考えております」

 自殺した高島さんの遺族は甲南医療センターを運営する法人に対し、すでに労働基準法違反の疑いで刑事告訴しているほか、民事訴訟も起こす予定だという。

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「週刊文春」では、今回の事件について情報を募集しています。文春リークスまで情報をお寄せください。

文春リークス:https://bunshun.jp/list/leaks

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