「(自殺した)医師の業務量は担当患者数等の点で極めて多いとは言えないし、他の専攻医と比較しても突出して多いと言うこともできない」

週刊文春」が入手した音声データに記録されていたのは、まるで「月に200時間超」という異常とも言える残業など無かったかのような院長の説明だった。

甲南医療センターの外観 ©共同通信社

 昨年5月に兵庫県神戸市の基幹病院「甲南医療センター」に勤務していた医師の高島晨伍(しんご)さん(当時26)が自殺し、西宮労働基準監督署が労災認定していた事件が明るみに出た。地元記者が解説する。

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「8月17日、読売新聞の報道で、労基署が高島さんの自殺は長時間労働による精神疾患が原因だとして労災認定していたことが発覚しました。一般的な厚労省の労災認定の基準では、発症前1カ月間に残業100時間とありますが、高島さんのケースで労基署が認定したのは倍の200時間を超えていた。同日中に、記者会見した病院側は『タイムカードの打刻の時間で計算すると、長時間になるがこれには自己研鑽の時間も含まれている』と説明。高島さんが病院に自己申告していた残業時間は30時間ほどだということも明かしました」