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辛汁をひとくち。甘みは少なくキリっとした雑味のない江戸のつゆである。出汁は厚削りの鰹節と昆布を使っているという。華やかな返しの味と相俟って完成された味である。さらしネギと本わさびを少々入れて食べすすめる。あっという間に食べてしまった。
2杯目は「牛セイロ」、厚切りの牛肉が4枚も
そこで、もう一度券売機に行き観察してみると「牛セイロ」(1200円)があったのでそれを追加注文することにした。
すると店主は行平鍋にかけつゆを入れ、そこに斜め切りした長ネギを入れて煮込んでいき、やや大き目な器に入れた厚切りの牛肉4枚に熱いつゆをかけ回して白ごま、三つ葉を散らして完成させる。牛肉に程よく火が入った頃そばが茹で上がり、水にさらして流れるような所作でそばをセイロに盛り付けていく。「牛セイロ」の完成である。
さっそく登場したつけ汁にそばをつけて食べてみる。牛肉は厚めで火の通り具合が絶妙である。七味やラー油を使って味を変えて食べていく。この濃いつけ汁にそばも負けてはいない。しっかりと主張して一体感すら感じられる。食べ終わってそば湯を入れて終了である。実に素敵な一杯であった。
「そば切り八代」はオープンキッチンなのでカウンターに座れば、店主の動きを見ることができる。これはなかなかよい。店の大きさは違うが神楽坂の「蕎楽亭」もそんな構造だった。
午後2時となり昼の営業が終了したので、店主と少し話をすることができた。なぜそば店を始めたか、その経緯などを聞くことができたのだが、すごく興味深い内容だったので紹介しようと思う。