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25歳でフリーターからプロテニスへ…全国模試5位、開成ー東大卒の“天才“が歩んだ壮絶な学生時代「ガリ勉の極致みたいな世界だった」

25歳でフリーターからプロテニスへ…全国模試5位、開成ー東大卒の“天才“が歩んだ壮絶な学生時代「ガリ勉の極致みたいな世界だった」

テニス選手・市川誠一郎さんインタビュー#1

2023/09/09
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 開成、麻布、武蔵の御三家って、当時は同じ日に試験があったと思うんですけど。開成が一番強かったので、開成を受けることに決めたんです。“一番強かった”って発想が、もうおかしいんですけど(笑)。

 場所よりも偏差値が重要だったので、親に灘とか栄光も受けたいと言ったけど、住んでいた千葉から遠すぎて却下されました。あと、麻布のほうがちょっと自由な校風なので、親に「こっちのほうが合ってるんじゃないの?」的なことを聞かれた覚えはありますけど、僕は偏差値しか考えてなかったです。

開成で全国模試1位~5位勢に会い、中3のなかばまで勉強に燃える

ーー開成のほかに受けた学校って。

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市川 1月に試し受験といって、中学受験生はみんなどこかしら受けるんですね。あと、滑り止めもその時期に受けておく。僕は千葉在住だったので、市川学園、東邦、渋幕(渋谷教育学園幕張中学校)かな。

 2月1日から都内の学校の試験が始まって、開成、栄光、海城、慶應を受けたかな。とりあえず、開成を含めてすべて受かりましたね。慶應は1次の後に面接があったはずだけど、面接は受けなかったんじゃないかな。

 開成に合格したときは、嬉しくて親に抱きついたのを覚えていますね。帰りに、秋葉原でプレイステーションを買ってもらって。まぁ、開成には受かったものの、日本一にはなれなかったですけどね。小6の模試で全国の5位より上には行けなかった。

ーーひょっとして、その上位5人も開成に。

市川 1番から5番勢に会うわけですよ。「こいつらか……この野郎」と思って、中3のなかばまで勉強に燃えていました。

社会人音楽サークルでバンド活動に打ち込むように

ーー中3のなかばで、なにかあったのですか。

市川 普通、中1や中2あたりで「将来、なにをしたいんだろう」「なんで、こんなことやってるんだろう」とか考えるじゃないですか。僕は精神的に幼くて、それが中3でやってきたんです。「いま頑張ってやってる勉強も、大学受験で終わっちゃうよな」「よく考えたら、べつに勉強が好きじゃないんだよな」とか思い始めて、「なんで好きなことに、このエネルギーを割いてないんだろう。すごい時間の無駄じゃない?」ってところに行き着いて。

 そう考えちゃうと、ピタッと勉強するのをやめました。僕は極端で、やりたくないことに対しては1分であろうとも時間を使うのがイヤなんですよ。一応、成績は開成中学のトップ10内に入ってたんですけど。

ーーそのタイミングで勉強を上回るものと出会う?

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