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25歳でフリーターからプロテニスへ…全国模試5位、開成ー東大卒の“天才“が歩んだ壮絶な学生時代「ガリ勉の極致みたいな世界だった」

25歳でフリーターからプロテニスへ…全国模試5位、開成ー東大卒の“天才“が歩んだ壮絶な学生時代「ガリ勉の極致みたいな世界だった」

テニス選手・市川誠一郎さんインタビュー#1

2023/09/09
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市川 音楽ですね。ちょうど、「BUMP OF CHICKEN」とか出てきた頃で、「Hi-STANDARD」とかJ-POPのバンドを聴いて。そのまま開成高校に上がって、そんなに音楽のことを知ってもないのに社会人の音楽サークルに入ってバンドをやりだしました。で、バンド仲間が洋楽を聴いているので、僕も影響されて聴くようになって。

 高3になって間もない頃、その社会人サークルのお兄さんたちに「音楽の専門学校に行って、ミュージシャンになろうかなと思って」と話したら、メチャクチャ止められて。「そんないい学校に行ってるなら、大学に進みなよ。大学に行ってからでも、ミュージシャンはなれるから」と言われて。高校生の当時、音楽で生きていける自信が持ちきれなくて、説得されているうちに「じゃあ、受験するか」と。

東大がダメだったら早稲田か慶應に行くつもりだった

ーーすんなりと勉強モードへ切り替えられましたか。

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市川 大学まで行っちゃえばいいんだから、高3の1年だけは頑張ろうって思い切ることはできましたね。でも、最初に受けた模試とか偏差値35ぐらいしかなくて。最後の最後までE判定しか出てなくて、ギリギリで受かりましたね。

ーー東大一択で。

市川 滑り止めで、早稲田と慶應を受けてます。とにかく大学に入って音楽をやりたかったので、東大がダメだったら行くつもりでした。連続で早稲田と慶應を受けたけど、ものすごい熱が出ちゃって。東大のほうで追い込みすぎて体調を崩したと思うんですけど、両方とも受かってました。それで心置きなく、東大の受験に臨めましたね。

ーー滑り止めが、早稲田と慶應ですか。

市川 早稲田や慶應は寝ていても受かるレベルじゃないと、東大には受からないです。難易度的に、そのぐらい違います。

東大入学後は音楽漬けの日々

ーー東大は、理1ですか?

市川 理2で入りました。理系の生物系です。物理はあんまり好きじゃなかったので興味を持てず、おのずと生物系を選ぶことになりましたね。

 中学受験のときみたいに、eスポーツ的な感覚で理3を目指してみたい気持ちもあったけれど、僕は音楽をやってる間に成績も落ちて、そんな余裕はありませんでした。

 理3はどんなに頭がよくても落ちることがありえるので。開成のトップ10にいたヤツでも、試験でちょっとミスったら落ちちゃうぐらいですから、そんなリスクは取れなかった。早く大学に入って音楽をしたかったので、浪人なんかしてる場合じゃなかったです。

ーー東大入学後は、音楽漬けで。

市川 ほとんど勉強してないですし、ぜんぜん成績もよくなかったです。というか、自分の成績を見てもないし、卒業もしてもしなくてもいいみたいな感じでした。

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