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OSO18は動かなかったのか? 動けなかったのか?
それにしても――。あれだけ人間を警戒していたOSOが、80メートルの距離までハンターに接近を許し、逃げる素振りさえ見せずに撃たれたのは、一体どうしたことか。そもそもOSOは駆除前からほぼ2日間、現場付近にとどまり続けたという話もある。これまでの彼の行動パターンからは考えられないことだ。
なぜ動かなかったのか。それとも動けなかったのか。
駆除後、確認したところOSOの顔には4カ所、傷があったという。既に述べたとおり、これまでOSOが狩場としていた場所から駆除現場までの間には、OSOより大きなヒグマが生息している。そこを通過する際に、そのうちの1頭とケンカになり、ケガを負った可能性もなくはない。駆除現場となった場所に横たわり傷を癒していたところにハンターがやってきた――ありうるシナリオだ。
公開された写真を見る限り、目立った外傷などは確認できないが、念のため、私は釧路町役場に電話した。担当者を通じて、件のハンターに「駆除時、OSOはどこかにケガをしていなかったか?」と訊いてもらったところ、その回答は「確認した限りでは、ケガなどはなかったように思う」というものだった(OSOが持ち込まれた食肉加工業者にも訊いたが、同様の回答だった)。
ハンターや業者の言う通り、ケガなどがなかったとすれば、OSOは「動けなかった」のではなく、「動かなかった」ということになる。
返す返すも残念なのは、OSOの死骸が早々に処理されてしまい、今となっては検証する術もないということだ。