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《東出昌大のクマ対談》「狩猟前に夫婦で同衾してはダメ」伝説のマタギたちが守った“掟と禁じ手”「何をするにも山の理があって、とても美しかった」

《東出昌大のクマ対談》「狩猟前に夫婦で同衾してはダメ」伝説のマタギたちが守った“掟と禁じ手”「何をするにも山の理があって、とても美しかった」

クマ対談#3

source : 週刊文春Webオリジナル

genre : ライフ, 社会, ライフスタイル

note

駆除に偏っても、保護に偏ってもダメ

東出 これは又聞きなんですが、ある猟師さんが箱罠でイノシシを取ろうとしてクマの錯誤捕獲があった。行政に電話して放獣したいって言ったら、市役所の方が来て確認して、次に県の方が来て確認して、その後獣医さんを呼ぶことになって……。

 結局、麻酔を打って、クマを放獣するまで猟師さんが立ち会っていたら、三日かかっちゃったと。ただでさえ時間がかかるのに、そこに自治体の事務停滞が起こってしまうと、猟師さんの仕事にも影響が出てきます。

「猟師さんの仕事にも影響が出てきます」(東出) ©文藝春秋/撮影・杉山秀樹

米田 駆除に偏っても、保護に偏ってもダメ。やはりある程度のところで個体数の増加を止めないと、駆除が追い付かない事態になり、結果的に人身事故が起こりかねない。千葉で自然動物園から脱走したキョンが大量に増えたが、あれも時期を逃したことで止め損ねてしまった。

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東出 シカは増えすぎて問題になっていますね。

大量発生したキョン ©iStock.com

米田 しかし頭数を管理するにしても、肝心のハンターがいない。兵庫県は2016年に制限を設けた上で20年ぶりにクマの狩猟を解禁したが、ハンターが老齢化していて結局4頭しか取れなかった。

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