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文春オンライン、週刊文春の“別班”が総力を結集して謎に迫る『VIVANT』を120%楽しむ!

専門家が注目する二宮和也「ノコル」の“本当の正体”「モンゴルでは今も昔も…」

専門家が注目する二宮和也「ノコル」の“本当の正体”「モンゴルでは今も昔も…」

モンゴル研究者がみる『VIVANT』#2

2023/09/10
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草原での食生活は日本人には過酷?

 とりわけ首都のウランバートルでは、中華、イタリアン、韓国料理、インド料理といった各国料理のほか、和牛や寿司、ラーメンも普通に食べることができる。コンビニでは、韓国風のおにぎりや弁当も売られるようになった。

 とはいえ、地方の遊牧民たちが今なお、毎日のように食するのは、「ゴリルタイ・シュル」と呼ばれるヒツジ肉うどんである。時折、ヒツジ肉の蒸し焼きうどん「ツォイワン」やヒツジ肉の蒸し餃子「ボーズ」を食べる。基本、ヒツジ肉と小麦粉だ。というわけで、草原での食生活は、慣れない日本人には、かなり過酷だといえる。

ヒツジ肉うどん「ゴリルタイシュル」(ウムヌゴビ県、2014年、筆者撮影)

チーズにハマった堺雅人が“只者ではない”ワケ

 こうした中、あるトーク番組に出演した『VIVANT』の俳優たちは、現地モンゴルでの食事について尋ねられると、微妙な面持ちをしていた。その中で例外的に主演の堺雅人がモンゴルの酸っぱいチーズを激賞していた。これは、アーロールと呼ばれる酸味のあるカッテージ・チーズだ。

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ゲルの屋根でアーロールを干す様子(ウムヌゴビ県、2012年、筆者撮影)

 アーロールは、遊牧民たちの間では、おやつのように食されるものだ。筆者も好んで食してきた。ただし匂いと酸味に癖があり、驚くほど硬い。慣れるのにいささか時間を要するモンゴル上級者向けの乳製品だといえる。実際、これを美味しいといって食べる日本からの旅行者に出会ったことがない。ちなみにアーロールは、犬のエサとして日本に輸入されている。何とも失礼な話だが、それにしてもアーロールを日本に持ち帰ってまで食べる堺雅人は、やはり只者ではない。

アーロールにハマった堺は「アーロールなしではいられない体になってしまった」のだという(『VIVANT』公式SNSより)

 架空の国の話といえども、撮影地であるモンゴルが話題となっているのは、この国を研究している者にとって、この上のない喜びだ。何よりも予測不能のストーリー展開に筆者自身もワクワクしながら毎週、テレビに見入っている。

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 9月6日(水)12時配信の「週刊文春 電子版」および9月7日(木)発売の「週刊文春」では、「文春“別班”が本気で追った『VIVANT』9つの謎」と題し、堺雅人や二階堂ふみ、阿部寛ら主要キャストの知られざる秘密など、7頁にわたって同作の大特集を掲載している。さらに「文春オンライン」でも、『VIVANT』に関する記事を多数配信する予定だ。
 

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