TBSがヒットを狙い、見事大当たりしている日曜劇場『VIVANT(ヴィヴァン)』(TBS系)。本作は『半沢直樹』、『下町ロケット』、『陸王』などの演出を担当してきた福澤克雄監督が、今回は演出だけでなく満を持して原作も手掛けた意欲作。

 世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ、関東地区)は、第1話が11.5%と期待されたほどではなかったものの、その後、第2話11.9%、第3話13.8%、第4話13.4%、第5話14.2%、第6話14.3%、第7話14.1%と順調に推移。

 そして第8話では14.9%を記録し、日曜劇場の前作『ラストマンー全盲の捜査官ー』第1話の14.7%を超えて、今年の民放ドラマでトップに。さらに第8話は個人視聴率も10.1%と2桁の大台に乗せています。

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 ほかにも、第1話から第5話のTVerなどでの無料配信再生回数が、放送開始から1カ月もたたない8月14日時点で2000万回を突破。これはTBS史上最速記録といわれ、「見逃し配信」でも反響があることがわかります。また放送後にはX(旧Twitter)の世界トレンド1位を何度も獲得しているのです。

 そこで、残すところ2話のみの『VIVANT』が、どうしてこれほどの盛り上がりを巻き起こしているのか、そのヒットの理由を5つに分けて考察します。

(1)キャストが異様に豪華

 言わずもがなではありますが、『VIVANT』の大ヒットの理由を分析するうえで、まずはキャスト陣の豪華さを語らないわけにはいきません。

 2020年の『半沢直樹』第2シリーズ以来、堺雅人が日曜劇場に凱旋主演している本作。同じく日曜劇場の『下町ロケット』主演の阿部寛、『陸王』主演の役所広司、『マイファミリー』主演の二宮和也も主要キャストに名を連ね、さながら“日曜劇場版アベンジャーズ”とも呼べる布陣です。

 ほかにも二階堂ふみ、松坂桃李、竜星涼、林遣都、濱田岳、小日向文世など、ゴールデン・プライム帯の連ドラ主演経験者がズラリ。要するに、自らが作品の座長になれる器の名優たちが、一丸となって主演の堺雅人を支えているのです。

豪華キャストが勢揃い(『VIVANT』公式HPより)

 これほどのキャストが揃ったのは、堺雅人×福澤克雄タッグの求心力があってこそでしょう。2人が組んで世に送り出した『半沢直樹』シリーズは、平成と令和のドラマ史に燦然と輝く記録を打ち立てています。世帯平均視聴率で、2013年放送の第1シリーズの最終話は平成ドラマ史上最高の42.2%を記録。そして、2020年放送の第2シリーズの最終話では令和ドラマ史上最高の32.7%を記録。

 日本のドラマ史で語り継がれるであろう作品を生み出した堺×福澤タッグの作品に加わることは、役者冥利に尽きるはず。とはいえ阿部寛、役所広司クラスの俳優が主役ではなく脇に回っていることは驚きですが、それは彼らが福澤監督に絶大な信頼を寄せている証なのではないでしょうか。